第94話 奴隷市場 開催

 奴隷市場の開催日を迎える。


 開催されるタッタリア侯爵邸に馬車で到着したけど、直ぐにダンスホールへは向かわずにペイトン侯爵夫妻を待った。


 他の来場者が続々とダンスホールへと入場していくなか、1台の馬車がダンスホールの前に停車する。御者がドアを開けると、真っ先に意外な人物が降りてきた。


「ハルカさん、お久しぶりです!」

「えっ、マリベル様?学園に居られるのでは?」


 そう、王都の学園に居るはずのマリベルが、馬車から降りてきたので驚いた。駆け降りたマリベルに続いてガリーがスマートに下車すると、妻パトラがエスコートされ降りると、愛娘に注意をする。


「マリベル!ペイトン侯爵家の者が、そんなはしたないことをして!屋敷へ送り返しますよ」

「あっ、申し訳ありません」


 マリベルが怒られてるところなので、非常に話しかけにくかったけど、ガリーに今日のことで礼を伝える。


「ガリー様、本日はご都合をつけていただいて、誠にありがとうございます」

「いや、気にしないでくれ。このリングのことを考えればお安いご用だよ」

「そう言っていただけるとありがたいです」

「ねぇ、お父様、早く会場へ入りましょう!」

「あぁ、会場へ入ろうか」


 私達はペイトン侯爵家とともに会場となるダンスホールに足を運ぶと、劇場に来たのかと思うような会場に驚いた。


「国が認める市場だと、ここまで盛大なイベントにするんですね」

「タッタリアは派手好きだからね。グローニャの奴隷市場は少し特殊なんだよ。おっ、そろそろ始まるよ」


 グローニャで行われる奴隷市場が特殊なだけだった。そんなことを聞いてるとステージ上に男司会の性が上がって、奴隷市場の開催が告げられた。


「ご来場の皆様、大変お待たせしました。これより奴隷市場を開催します。手元の資料の上から順番に商品がステージに上がりますので、お目当ての商品のオークションに参加してください。では最初の商品からご紹介します……」


 奴隷市場が開催されると、次々と商品が取引されていくと目当てのチル、デボラ、ピコリとステージに上がったので、チルを金貨300枚、デボラを金貨3,500枚、ピコリを金貨150枚で無事に購入することができた。


 ヴァンパイアのデボラが今回の目玉商品だったので、私が購入すると目立つと判断したガリーが代理で購入してくれた。いくら会員とはいえ平民の私が目玉商品を購入するのは不味いからね、ペイトン侯爵家と親しくして本当に良かった。


 全ての商品紹介が終わった後は、購入者だけが会場に残って、支払いを済ませて商品を受け取っていくことになるので、私達は会場に残ったのだった。

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