第93話 ペイトン家との交流

 奴隷市場の開催日が近づいてきたので、アネロを通してペイトン侯爵にアドバイスをお願いをすると、快く引き受けてくれた。


 今日は、ペイトン侯爵家で昼食を取りながらアドバイスを受けるために、トラパーネとアネロを連れて屋敷を訪れた。


 屋敷に到着すると、玄関先に待っていたメイドにより食堂へと案内される。洗練された動きの隣に、少しぎこちない見習いメイドがいる。その子はファミリアから派遣されたエルフの少女で、一生懸命に頑張る姿を見て、思わず笑みがこぼれた。


(うん、頑張るんだよ)

 

 食堂へ案内され、席に着いてしばらく待つと侯爵夫妻が入室してきた。私達が席を立ち一礼をしてから挨拶をする。


「こんにちは、昼食に招いていただき誠にありがとうございます」

「ごきげんよう、私もハルカさんと会食をしたかったのよ。楽しい時間ましょうね」

「パトラは、アネロさんから連絡をもらってからは、今日が来ることを楽しみにしてたんだよ」

「ありがとうございます」


 私と侯爵夫妻の挨拶が済むと、続いてアネロが魔法鞄マジックバッグからアドバイスのお礼品を取り出して渡す。流石は侯爵家、魔法鞄マジックバッグを見ても驚くことはなかった。


「昼食会で、奴隷市場でのアドバイスをいただくお礼として、こちらをご用意しましたので、つまらない物ですがお受け取りください」

「ありがとう、開けてもよろしいかしら?」

「はい」


 パトラは笑みを浮かべながら包装を解くと『まぁ!』と声を上げる。見事な彫刻が施された箱を手にすると、直ぐに開けずに手にした箱を眺め楽しんだ。


「素晴らしい彫刻ですね!この箱だけでも十分なのに、まだ中に入ってるのよね?」

「はい、お確かめください」


『パカッ』


「これは、リングとピアスね」

「はい、リングはガリー様に、ピアスはパトラ様とマリベル様に用意した物で、毒無効の効果が付与されてます」

「まぁ、このクオリティーで効果まで付いてるなんて、ファミリア商会の職人達の技術は卓越してるのね。ありがたくいただくわね」


 夫妻が喜んでくれたのでなによりだ。特にパトラは気に入ったようで、早速身に着けてガリーに似合ってるかと確認をすると、『似合ってる』の言葉に上機嫌になり会食は大いに盛り上がった。


 そして、奴隷市場についてのアドバイスでは、1回の開催で購入するのは2人が暗黙の了解らしい。私が3人欲しいことを伝えると、今回は見送る予定だったペイトン家が、1人を購入してくれると言ってくれたので、言葉に甘えることにした。


 有意義な食事会を終えて数日が経ち、待ちに待った奴隷市場の開催日をむかえたのだった。

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