第86話 奴隷市場とは

 ファミリアへ10人の子供達を連れて戻った。


 連れ戻った全ての子供達のスキルは〚労働者〛で、ニーニョズのような特筆したスキルは持ってない。


 それでも以前にエリカが言った、努力してスキルを覚えることができれば、ファミリアにとって有能な人材になってくれるはず。武術はアニエラとエリカに、生活魔法はルカに教育を任せることにした。他にも仕事に興味を持ち始めれば、その仕事のスキルを覚えるかも知れないね。


 住まいはニーニョズの建物を増築して、アグリ達と共同生活してもらうことにした。良い手本となるニーニョズの生活行動を見れば、ファミリアでの生活に早く馴染めるからね。


「さぁ、ここがみんなの新しい家だよ。生活環境が変わって戸惑うかも知れないけど、ここに居るみんなを家族だと思ってね。必要な訓練や勉強をしてもらうけど、将来役立つと約束するから嫌がらずに頑張ってほしいの。できるかな?」

「「はい!」」

「うん、みんな良い子だね。今日はご飯をいっぱい食べてゆっくり休んでね」


 ご飯と言うと、みんなの目が輝いた。これまではその日の食事にありつくことも苦労してたんだね。これからはいっぱいご飯を食べて、幸せな毎日を過ごして欲しいと思ったの。


(私はファミリアに住む全員の幸せを必ず守ってみせる。その為にはもっと強くならないと!)


 子供達を家に案内した後は、屋敷へと戻って明日からの話をすることにした。┃並列思考セレブロが事前にアネロとクラリスに連絡をしていたので、人身売買について知ってる限りのことを教えてくれた。


「表沙汰になってませんが、【傲慢の王】がしていた人身売買は氷山の一角で、あれは獣人の売買に特化したものでした。実際には多種多様な人身売買が行われていて、通称【奴隷市場】と呼ばれる所で取引されてるらしいですが、私はその程度のことまでしか知りません」


 アネロは人身売買についての存在を知ってる程度だった。リクルト商会の職員だったので、縁のない世界だから仕方ないよね。ファミリアの住人で唯一の貴族出身者であるクラリスは、アネロ以上に奴隷市場について知ってるようだった。


「貴族の世界ではその存在は常識で、貴族以外にも富裕層なら会員になることで、奴隷市場に参加できますよ。私の父に頼んでも会員になれるかと思いますが、ハルカ様なら商会のお得意様に頼む方が早そうですね」

「そうなんだ、会員のことは得意客に頼んでみるよ。それで、市場はいつ開催されるの?」

「月に一度開催されます。会員になれば通知が来るのでその時に日時は判ると思いますよ」


 奴隷市場については概ね理解できたので、得意客に会員資格が欲しいことをアネロに伝えてもらうと、簡単に会員になることができた。後は、奴隷市場の開催日時の通知を待つだけだね。

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