第74話 勝利の報酬

 私の頭に口が近づいたその瞬間、起死回生の〚地竜砲ドラゴバスター〛を放つ。


「これでダメなら逃げちゃうよ?〚地竜砲ドラゴバスター〛!」


『キュイーーーン』


 地竜アースドレイクのものとは違って、圧縮されてレーザービームのような光線が、大きく開いた地竜アースドレイクの口の中へと入ると、光線は一瞬で口から頭を突き抜けた。


『キュンッ』


「ゴフッ……」


 頭を貫かれた地竜アースドレイクは、うめき声をあげた後に大きな体は、力なく崩れ落ちていった。


「はぁ、はぁっ、殺ったのかな?」

『万能感知では心音は確認できないから、完全に絶命してる。ハルカは地竜アースドレイクを討伐したんだよ!』


 並列思考セレブロが私の勝利を伝えると、目の前の地竜アースドレイクの亡骸が『キラキラ』と消滅していった。


「これだけ大きな体だと、消滅するのに時間がかかるんだね。それに『キラキラ』してるのが幻想的で綺麗」

『アニー達には討伐したと伝えたけど、この光景には間に合わないね。これは常に一緒にいる僕だけの特権だよ』

「あはっ、私達は二心一体だからね」


 地竜アースドレイクが完全に消滅すると、特大の魔石と牙に大量の鱗が残ったので、その3つを鑑定しておく。


【竜玉】長く生きたドレイクのみが持つエネルギーの塊。一定のエネルギー量に到達すると新たなドレイクを生み出す。


【竜牙】竜種の牙。火水風地の4種ドレイクのみが有する超硬度の牙で、加工は難しいがその斬れ味は衰えることはない。またアルテマとウルガムを精製するのに必要な素材の1つ。


【竜鱗】非常に軽く堅固なドレイクの鱗で、魔法防御にも非常に秀でている。


 なんと、パインから聞いた究極の金属と言われる、アルテマとウルガムの素材になる物をドロップした。素材の1つということなので、あとどれだけ必要なのか判らないけど、究極の金属に繋がる物が手に入ったの僥倖だね。


 3種類のドロップを鑑定し終わると、アニエラ達が私のもとへやってきて、猛スピードで突進するのを受け止めると、抱き合ったまま倒れた。


「凄い、凄い!本当に倒しちゃったんだ!」


 アニエラが凄いテンションで話しかけた後に、胸元に顔を『グイグイ』と押し付けてきた。


「まぁね、〚地竜砲ドラゴバスター〛を強奪できたのが勝因かな?それよりも、究極の金属の素材をドロップしてね。パインへ良いお土産ができたよ」

「それは素晴らしいですね。今日の討伐は終えてファミリアへ戻られますか?」


 トラパーネはこの後のことを聞きながら、私に抱き着いてるアニエラに触れて、空間魔法で簡単に離れさせた。


「そうだね。今日はここまでかな?また日を改めて討伐へ行こうね」

「「OK!」」

「かしこまりました」


 竜牙というパインへのお土産を持って、私達は久しぶりの討伐からファミリアへ戻ったの。

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