第97話 顔合わせ③
ペイトン侯爵邸を後にして、馬車に乗ってファミリアへ戻る車中で、デボラは意を決したように口を開いた。
「あの、ハルカ様は
デボラの口から予想外の言葉が出たので驚いていると、その様子を見たデボラは『しまった』という表情になった。
「私のことを
そのまま種族名を答えようとしたら、私より先にトラパーネが誇らしげに語りだしたのだった。
「ハルカ様は
「
私が始祖の
「私がルヴァール.ドラクロワを吸収して始祖の
「御始祖様を吸収?そんな馬鹿な!
私が吸収したと言うと、デボラは取り乱してそんな訳がないと言い切った。確かに普通の状態で遭遇していれば、軽く負けてたと思うけど運が良かったからね。
「あぁ、
「運も実力のうちです。それに
「……」
私がドラクロワを運良く吸収したと伝えると、トラパーネは運も実力だとか、
「あなたを購入したのは興味が湧いただけで、なんとか派なんて知らないから大丈夫だよ?仲間の元へ戻りたいなら戻ると良いよ?もし敵対するなら滅ぼすだけだからさ!とりあえず奴隷印は解除するから、後は好きにすれば良いよ〚
「……」
私が奴隷印を解除して自由の身にすると、またしても言葉を失ったまま何も言えずにいた。その様子を見ていたチルはデボラに言葉をかける。
「ハルカ様は奴隷に落ちた私のことを、人としてファミリアに迎えてくださった。あなたを救い出そうともしない仲間の元へ戻るの?」
「っ……」
何も言い返せずに黙り込むのだった……。
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