第67話 行くか残るか

 リオルドの命令により、私達に向かって矢が放たれた。隣にいるアネロの悲しそうな顔を見ると、こんな奴等を救う必要があるのかと思う。


「アネロ大丈夫?悪いけど全員は連れて行けないけど良いかな?」

「こんなことに……、本当に申し訳ありませんでした。ハルカ様に全てを任せます」

「ありがとう」


 アネロと話をしていると、並列思考セレブロが〚空間魔法〛の反転リバースを使って全ての矢を反転させて撃ち抜いた。


『ザクッ、ザクザク……』

「「ぐわぁああ!」」


 私は〚翼刃ウイングブレード〛でロープを切断して拘束から抜け出すと、広場に居る全てのエルフに向けて威圧した。圧倒的なプレッシャーにより、エルフ達は抵抗することを諦めたみたいなので、私は最後通告をする。


「話し合いをしに来たのに、拘束して処刑しようとしたことは、アネロに免じて見逃してあげる。そして、私が用意する新しい住処に行くのか、この隠れ里に残るのかをよく考えてみてね?期限は私が再び訪れる3日後だよ」


 私はそう言った後に、広場に食料を置くとファミリアへ転移して戻ったの。


 ファミリアへ戻ると、アネロは私の前で土下座をするように地面に頭をつけて謝罪する。


「誠に申し訳ありませんでした。長老達があそこまで愚かだとは……」

「ははっ、確かにあれはないね。3日後に長老や矢を向けた者については、本質は変わらないと思うから拒むね」

「当然のことだと思います」


 両膝はそのままで頭を上げたアネロに長老達の処遇を伝えると、当然だと答えた。これにはエリカとメドサンも頷いていた。


「あの場にパーネが居たら、エルフの隠れ里は壊滅してただろうね?」

「私にトラパーネ様のような力があれば、壊滅させていたと思います。あんな無礼は認めません」


 エリカとメドサンが恐ろしい話をしてると、トラパーネとアニエラが私のもとへやってきた。


「私がどうかしましたか?」

「ううん、なんでもないよ!ねっ?」

「お、おぅ」

「「はい……」」


 エルフの隠れ里で起こったことは、トラパーネのブチ切れ案件になるのは確実なので、全員が口を閉ざしたのだった。


 そして3日が経過したので、私はアネロと返事を聞くだけなら短時間だと言って、ファミリアに残ることを断固拒否したトラパーネと、前回と同じエリカとメドサンを連れてエルフの隠れ里へと向かったの。


(間違っても攻撃をしてきませんように……)


『パッ』


 私達がエルフの隠れ里に着くと、少数と多数のグループに分かれて到着を待っていたようだったので、私はエルフ達に返答を求めたの。


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