第59話 黒いダイヤの戦慄

 私が『ワクワク』しながら魔物を待ち構えてると、遂に視界に捉える事が出来たの……


『カサカサカサカサッ』


 奴だった。前世の天敵で【黒いダイヤ】と呼ばれる最強の虫【ゴキブリ】の魔物だった。

 3cm程のサイズでも恐怖してたのに、人と同じ程の奴を見た私に戦慄が走った!


「きゃあーーーーーーーー!」

「ちょっ、ハルカ!魔法をって、もう間に合わないね。あたいが行くよ!アニーはハルカを頼むよ」

「うん、任せて!」


 恐怖のあまり身動き出来ない私をアニエラが守ってくれた。エリカは鞭を手にして、奴に鞭を振るって攻撃を仕掛ける。


 変則的な動きで初撃を躱して、エリカに突撃してくるが冷静に鞭を引き戻しすと、ノコギリ状の鞭で奴を挽き切り切断すると消滅した。

 残りの1匹は刃のような羽根を拡げて、エリカへ斬り掛かった。


『スパッ』


 なんとか躱したようだけど、胸元に少し切り傷がついて血が滲んでいた。


「チッ、掠ったか……生意気な、死ね!」


 奴は旋回して再び突撃をしてきたのに合わせて、鞭を螺旋のように『クルクル』回すと、奴は進行方向を変える事が出来ずに直撃した。


『グシャッ、グシャッ!』


 頭から順に小間切れになり消滅した。

 2匹がドロップした魔石と羽根を回収した後に、未だに恐怖に震える私の元へ戻ってきた。


「ハルカ、どうしたんだよ?普通の蜚蠊ローチじゃないか」

「あんなの……普通じゃないよ(泣)」

「確かに町に居るのってこれ位だもたんね」


 アニエラが町に現れる奴のサイズを手で表すと、50cm程あったので絶句した……


「……ムリ」

「えっ……足で踏むだけだよ?」

「ムリムリムリムリムリーーー!」

蜚蠊ローチが無理ならダンジョンは諦めるかい?」

「ヤダ……奴が出たら2人が倒して……お願い」

「判ったけど、あんなに騒ぐのは勘弁してくれないと、魔物が寄ってくるよ!」


 奴が大量にやって来るのかと思い浮かべると、その悍ましい光景に失神しそうになった。


「ちょっ、ハルカ!しっかりしな!」

「あっ、ごめん……騒がないように気をつけるから、奴らは2人に任せるね……」

「OK!」


 ダンジョンで初めて魔物がゴキブリという最悪のスタートをきって、高かったテンションが一気に下がってしまったの……

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