第54話 パインの鍛冶工房

 朝の日差しで目覚めたので、朝食作ろうと思ってキッチンへ向かう。


『トントン』『ジュ〜ジュ〜』


 キッチンから軽快な音が聞こえたので、誰が料理をしてるのか気になったので、早足で向かっていくと、パインが朝食の準備をしていた。


「パイン、おはよう♪朝食の準備をしてくれてたんだね。ありがとう♪」

「あっ、ハルカさん、えっと、おはよう♪」


 なぜか、私に少しぎこちない挨拶と、パインの顔が少し赤くなっていた。気になるので何かあったのか聞いてみる。


「ん?どうかしたの。少し様子が変な気がするけど、気にせず何でも言ってね」

「あっ、はい、その……ハルカさんの……凄く可愛い声が家中に響いていたので(苦笑)」


 あれだった……昨日の夜はエリカと思い切り楽しんでたね(汗)家の外には声が漏れないようにしていたけど、家の中の事は考えて無かったわ……家の中で音漏れを気にしなかったから、かなり激しいものだったので、パインには刺激が強すぎたかな?


「ごめんね~、気をつけるよ(笑)」

「いえっ、あの……私もいつかは一緒に……」

「あっ、うん、そうだね(笑)」


 パインもこっち側だったとは……

 衝撃の事実に驚きながらも、私も朝食の準備を手伝ってから2人を起こしてから、4人で朝食を取ってヤリテールが来るのを待ったの。


『コンコン』

「おはようございます。ヤリテールです」


 ドアを開けて出迎えると、ヤリテールと家の前に大きな荷馬車が止まっていた。


「おはようございます。あの荷馬車に全ての素材が入ってるの?」

「そうです。かなりの量になるので、搬入だけで日が暮れるかと思います」

「それは大丈夫ですよ。あれ位なら魔法鞄マジックバッグに入るので♪」


 私は『ニコッ』と笑顔を見せた後に、荷馬車に近づいて積荷を確認して、1つずつ手に触れて収納していくと、ヤリテールと運び屋がその光景を見て驚いていた。


「はい、運搬ご苦労様でした。」

「はっ、はい。お疲れっす」

「さぁ、ヤリテールさん、鍛冶工房を作りげるよ〜♪」

「ははっ、ハルカさんはビックリ箱みたいな方ですね(汗)」


 素材を全ての受け取った後は、図面を参考に鍛冶工房になる部屋を増築して、パインの部屋と繋いでドアを付けてから、1階からも出入りが出来るように階段も作って、いよいよ鍛冶工房を作り始める。ヤリテールドアをパインが図面を見ながら【熔解炉】【焼結炉】【急冷水瓶】【鍛造床】等を次々と設置していく。


「ハルカさんの〘土魔法〙と〘錬金術〙は凄いですね。本当に今日中に出来上がりそうです」

「パインに早く仕事をさせてあげたいからね。それに物を作るのって結構楽しいよね♪」


 そして日が傾く頃には、図面に記された全ての設置が確認出来て、私達の専属鍛治士パインの鍛冶工房が完成した。

 完成した鍛冶工房を見渡した後に、パインは感無量の表情で私に礼を言ってきた。


「ハルカさん、こんな立派な鍛冶工房を本当にありがとうございます。この工房に負けない素晴らしい物を作り上げてみせますね!」

「うん、でも気負わなくても良いからね。普段通りの作業をすれば、パインなら最高の物を作れるんだから♪」

「ハルカさんに出逢えて良かった……」


 最後は感極まって泣き出しちゃったので、私達も思わずもらい泣きをしたの。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る