第72話 画廊へ立ち寄る

 久し振りのファミリアを満喫した後は、グローニャへ戻って屋敷の改装をする為に、建設ギルドへ向かう事にした。


 今回はエリカはファミリアに残って、私の秘書としてトラパーネに同行してもらう事にした。


 街中を私が移動すると目立ち過ぎる為に、今回から帽子を深く被って、出来るだけ顔が見えないように工夫をして、グローニャの屋敷から建設ギルドを目指して移動した。


(これで駄目なら〚変幻自在〛で姿を変えるしかないね)


 3人でメイン通りを歩きながら、色々な店舗を眺めていると、絵画を取り扱う画廊が目に入った。これから屋敷のデザインを説明するのに、デザインを絵にする事が出来れば便利だと思い、その事をルカに伝えた。


「ねぇ、あの画廊に入ってみない?もし、お抱えの画家が居たら紹介してもらって、スキルを持ってたらコピーしたいんだよね」

「確かに、屋敷のデザインを絵にして説明する為に必要かも知れませんね。早速寄って画家が居ないか確認しましょう」

「流石はハルカ様、この辺りに全ての店舗を回って、持ってないスキルは全てコピーしましょう」

「まぁ、そう何だろうけど、それはいつでも出来るからね。ファミリア商会を立ち上げあ後にするよ」


 トラパーネの言ってる事も理解できるけど、それは急ぐ必要がないので、今回は画廊へ寄って必要なスキルがあればコピーするだけにした。


 そして、サルバドーレ画廊という所へ入って行くと、満面の笑顔で店員に出迎えられた。


「ようこそ、サルバドーレ画廊へ!多数の絵画を揃えてます。気に入った物がございましたら、お声をおかけください」

「この画廊で、主の自画像を描いてもらう事は可能ですか?」


 トラパーネが、店員に声をかけられたタイミングで、私の自画像の依頼をして画家が在籍してるのかを確認をした。


「可能です。我々の画廊には3人の画家が在籍してるので、展示されてる物でお気に入りの物があれば、その絵を描いた画家による自画像の製作を承ります」

「ハルカ様、どの絵がお好みですか?」


 私は適当に絵を指差す。


「こちらの絵を描いた画家なら、奥にあるアトリエで作業をしてます。お会いになられますか?」

「是非、お願いします」


 店員が画家を呼びにいくと、奥から小柄な女性が現れて私に挨拶をしてきた。


「私は、フランと申します。自画像をご希望とお聞きしました」

「えぇ、商会を立ち上げるタイミングで自画像をと思ったの。お願いできますか?」


 そう言ってから、私が帽子を取って顔を見せると、フランは目を大きくして固まった。


「す、済みません……あまりにもお美しいので見とれてしまいました」

「屋敷の改装を終えた後に、お願いしたいのですが大丈夫ですか?」


 私がそう言って手を出すと、フランは顔を真っ赤にしながら私の手を握って返事をした。


「はい、承りました。お声をかけて頂ければ直ぐに伺います」

「ありがとう。改装が終わったら秘書の方から連絡をします」

「はい、お待ちしてます」


 屋敷の改装が終わった後に、私の自画像を描いてもらうよう依頼してから、サルバドーレ画廊を後にして建設ギルドへと向かう。画廊の建物を出たところで並列思考セレブロが報告してきた。


『ハルカ、フランから〚絵師〛のスキルをコピーしたよ』

『ありがとう。これで屋敷の改装イメージを書き表せるから、説明が楽になるよ』


 私達は少し寄り道をしたけど、ここからは寄り道もせずに建設ギルドへ向かったの。


 

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