第49話 今後の対策

 トーレス町からファミリアへ戻ると、インビエルノ王国からの調査団が帰った事を伝えた。


 みんなは『ホッ』とした表情になり、元の生活に戻れると安堵してるみたいだけど、エリカの表情は厳しいままだった。おそらく私と同じ考え何だろうね。


「表向きの調査が終わったから、ここからは怪しいと思った所をすり潰しながら、裏側から徹底的に調べるんだろうね。ヤリテール商会へも正面切って入るのは危険だよ」


 エリカの言葉にみんなは驚いていたので、私はエリカと同じ意見だと伝える事にした。


「調査はまだまだ続くね。国の重要戦力が突然消えてるんだからさ、足取りを掴んで答えがでる迄は調査は続く筈だよね」

「これからトーレス町での取引も出来なくなるって事なんですか?まだまだ自給自足には程遠いから、その事が心配になります」


 パインはトーレス町との取引が出来なくなると、物資の不足になると思ったみたいね。次回からは空間魔法で直接取引へ行く事を伝えた。


「来月からの取引は、空間魔法で商談部屋へ転移すると伝えてるから、来月は大丈夫かな?」

「そうですか、良かった」


 来月は大丈夫と伝えると、パインは少し安心してくれたけど、エリカはそれだけでは不安だと指摘する。


「でも、ヤリテール商会の建物にはあたい達が暮らしてた。ロックの失踪後に売却してるから、怪しいと思われてるんじゃないのかい?」


 エリカの指摘は正しいものだったので、来月以降の事についての説明をする。


「うん、だから来月の取引以降は、ヤリテールに出向いてもらおうかと思ってるんだよね」

「はぁ?そんな事をしたらファミリアの存在がバレるだろ?」


 エリカは当然だけど、周りのみんなからも同様の声が出て少し騒然としたので、手で静止してから最後まで説明をした。


「話はまだ途中だからね。ほら、巨大迷路を踏破した時に転移陣があったでしょ?あれの解析が殆ど終わったからさ、特定の者が魔力を流せば転移が出来る【転移魔法陣】を作るんだよ。これなら誰にも見られず追跡されないでしょ?」

『えっ、ハルカ?転移魔法陣なんて知らないんだけど?』


 私が転移魔法陣の事を説明すると、並列思考セレブロが驚きながら話に加わってきた。


「転移陣の理屈さえ判ればさ、使用者限定の転移魔法陣なんて凄く簡単なんだよね。後は、魔法鞄マジックバッグも作る予定だからさ、大量の荷物を取引出来るから大丈夫だよ」


 転移魔法陣だけではなく魔法鞄マジックバッグがあれば、極短時間での大量の取引が出来るところまでを説明すると、全員が口を開けたまま驚いてた。

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