　沈黙の森（フォレストオブサイレンス）へファミリアを移設する事が決まったので、移設に必要な土地を確保する為に、森の開拓を進める。

　居住エリア、菜園エリア、果樹園エリアに必要な土地を確保するのに、私は樹木を〘無限収納〙へと収めていく。

　居住エリアはこれから住民を増やす事を前提に、500m四方の土地を確保した。そこへ私達が住んでいる屋敷を2つ中央に移設した。住民を迎える時は、屋敷から外側へ向かって家を建てて行く予定。樹木は大量にあるので、家などの建物ならいくらでも建てられるからね。

「真ん中に屋敷を置いて、外に向かって建物を配置するとトーレス町みたいになるね」

　トーレス町でも真ん中に伯爵邸があったのを思い出したので、その事をエリカに話し掛けると、少しため息をついてから返事をしてきた。

「はぁ～、普通はそうなんだよ。侵攻された時に、領主の屋敷が直ぐに狙われるだろ？だから外に屋敷を置かないんだよ」

「私達が1番強いのに守られるの？」

「強い弱いの問題じゃないんだよ。ファミリアの屋敷を中心に運営をするんだから、屋敷が壊されると運営が成り立たなくなるんだよ」

　ファミリアが集落として発展すると、政治や経済などの運営をする事になる。その全てを執り行うのが私達の屋敷という事なんだね。

「人が増えれば、住民の管理や区画の整理が必要ですし、菜園や果樹園では生産管理をしますからね。町のようにするなら税を徴収して、そのお金で住みやすい環境を整えるんですよ」

　エリカに続いてルカは、ファミリアが発展した場合想定される事を簡単に説明してくれた。集落を作って発展させるには、色々な事をしないとダメなんだと理解した。

「発展させないなら、そんな事は考える必要ないんだよ？止めるなら今のうちだからね」

「規模については判らないけど、クテュール達のような子供達が、幸せに暮らせる場所を作ってあげたいんだよね。大人については自己責任だけど、子供に罪はないでしょ？」

　私の素直な気持ちをみんなに伝えると、みんなが笑顔になったので、私と同じ考えなんだと思って私も笑顔になると、トラパーネが両手を胸元で合わせて話し始めた。

「ここに居る眷属達は、ハルカ様の人柄に惹かれた者ばかりです。ハルカ様の考えに全員が賛同しますよ」

「「その通り」」

「ありがとう」

　その後は、私達の屋敷周りに堀を作って、そこからメイン通りを作って、それぞれの区画を整理したところでその日の作業を終えた。菜園や果樹園の移設はまだ終わってないけど、沈黙の森（フォレストオブサイレンス）で新生ファミリアの生活が始まったの。

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