第39話 偽装のピアス

 借家の買い取りも済んで金貨1,500枚のローンが出来たので、真面目にお金を稼ぐ事を考える必要があるんだよね。


「家を購入したから、金貨1,500枚のローン返済の為にハンター活動に力を入れないとね」

「まぁ、それも大事だけどさ、ハルカには〚偽装〛を付与したアイテムを優先して欲しいね」


 完全に忘れてた(汗)

 吸血鬼ヴァンピールと見破られない為に〚偽装〛を付与したアイテムを作るんだった。


「ごめん……忘れてました(苦笑)」

「ハルカも〚偽装〛をしてないのかい?」

『僕が〚偽装〛を発動させてるから大丈夫』

「もぅ、あたい達の事がバレたらこの町に居る事が出来なくなるんだよ。優先事項は忘れないないようにしないとね!」

「はい……ごめんなさい。直ぐに作ります」


 エリカに叱られて『しゅん……』としてると、パインが不思議そうな顔をして質問してきた。


「偽装とか付与とか作るとかって話をしてるみたいですが、ハルカさんは鍛冶士か錬金術士なんですか?」

「そういえば、パインには私達の事を説明してなかったね。実は……」


 そこから、パインには私が異世界から転生スライムである事や、始祖の吸血鬼ヴァンパイアを吸収した事で始祖の吸血鬼ヴァンピールになった事、アニエラとエリカが私の眷属になった経緯などを話したの。

 どの話も現実離れしてる内容なので、パインはずっと驚いたままで口が開きっぱなしだった。1番驚いてたのが私達が吸血鬼ヴァンピールってところじゃなくて、エリカが元冒険者協会長のエリザベスだと説明した時だった。


「協会長って……白髪でシワシワのお婆さんでしたよね?それが艶々の美女でナイスバディって……既に偽装してるじゃないんですか?」

「おい!あたい偽装じゃなくて若返ったの!昔はモテモテでイケイケだったんだからね!」

「私も眷属になった方が良いですか?」

「ゆっくり考えるといいよ。半永久に生きる事になるからね」

「判りました」


 私達の説明も済んだので、アニエラとエリカが身に着けるアイテムを作る事にした。鑑定する時って顔を見てる気がしたのでピアスを作る事にした。せっかくだし4人でお揃いのピアスなんて良いかなって思ったので聞いてみる。


「私が鑑定する時は相手の顔を見ちゃうからさ、ピアスにしようかと思うの。せっかく作るから4つ作ってみんなで着けない?」

「「良いね♪」」


 みんなが賛成したのでピアスに決定した。

 素材は金貨を4枚と、私の血液から鉄分等の不純物を取り除いた血晶石を使う事にした。


「じゃあ、始めるね」


 私は左手に金貨を右手に血晶石を持って、赤い花弁をイメージしながらピアスを作成する。出来上がったピアスを見てアニエラが褒めてくれる。


「あっ、可愛い花のピアスだね♪」

「ありがとう♪次は〚偽装〛を付与するね。パインはこのまま渡しておくね」

「ありがとうございます♪」


 吸血鬼ヴァンピールの3人はハンター登録した嘘の情報を、ピアスに〚付与術〛を使って〚偽装〛付与して出来上がった。

 ちゃんと出来てるかアニエラにピアスを着けてもらって、エリカに鑑定をしてもらう。


【名前】アニエラ

【種族】人族

【年齢】11歳

【職種】魔法使い

【属性】火・風


「完璧だね。これを身に着けてれば、誰が見ても吸血鬼ヴァンピールとバレないよ!」

「良かった♪これで鑑定対策は終了だね」


 私が【偽装のピアス】を作った事で、鑑定で種族が明らかになる恐れはなくなったの。

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