第70話 屋敷の改装
商業ギルドを後にして、私達は購入した屋敷を目指して移動する。ギルドや大商会の建物が並ぶメイン通りから外れた場所に、購入した屋敷はあった。メイン通り程の賑やかさはないけど、小さな店がたくさん並んだ商店街のような感じで、目立ち過ぎず良い場所だと思った。
「ここがグローニャでの活動拠点になる屋敷です。建物の前に馬車を停めるスペースがあるのは助かりますね」
ルカが屋敷へ到着すると、前から見渡した感想を言う。確かに私達の荷馬車程度なら4台は停められそうだと思った。
「これは、もう少し整備すれば来客用としても使えるね。屋敷内の改装が終わった後にでも、適当に綺麗にしちゃうね」
「ハルカさん、改装業者に頼みましょう」
「ハルカがすると一瞬で終わるだろ?それは流石に目立ち過ぎるよ」
私が屋敷から馬車の待機所まで1人で改装すると伝えたら、ルカとエリカに止められた。
私は早く改装を済ませて、ファミリア商会での取引や、ダンジョンへ行きたかったのに……目立ち過ぎるという事で改装業者に頼む事となった。
ただ、デザインは私の好きなアンティーク調にする事と、材料は全て私が作った物を使用して、業者は作業するだけの形になった。
私が屋敷を改装をするつもりだったので、やる事が無くなってしまった。とりあえず私がしなければならない事を確認しておく。
「私がする事って、地下を増設をして転移魔法陣を設置する部屋と、販売する調度品を保管する倉庫を作るくらいだね?」
「はい、後は屋敷のデザインと、改装に必要な材料を作る事ですね」
「OK!とりあえずファミリアへ帰りたいから、地下の増設をして転移魔法陣を設置する部屋を作っちゃうね」
「簡単に言うんだね」
「本当にハルカさんは規格外ですね」
2人が何か言ってたけど、私にとっては簡単な作業なので、屋敷の中へ入って間取りを考える。1階の正面は店舗を置くので、その奥に移動して地下を増設する事にしたので、ルカに地下室の大きさを聞いてみた。
「とりあえず、地下を作るけど多いほうが良いよね?」
「そうですけど、どれ位まで可能ですか?」
「う〜ん、屋敷と同じ大きさかな?流石に敷地面積を越えるのマズイでしょ?」
「あっ、はい……屋敷と同じサイズで……」
地下室の大きさを言った時のルカの表情が、引き攣っていたのは気のせいかな?エリカがルカの肩を『ポンポン』と叩いてこう言った。
「ハルカの常識は、あたい達とはズレてるんだよ。そのうち慣れるからね」
何に慣れるのか判らなかったけど、私は床に手を当てて屋敷と同じサイズの地下室をイメージしながら、土魔法を発動させた。
『ゴゴゴ……』
音が鳴り響きながら下へ降りる階段が徐々に出来て、さらに地下の空間が広がっていく、そして音が鳴り止むと地下室が完成したの。
「うん、完成したね。後は転移魔法陣を設置する部屋を仕切るね。ホイッ」
『ズズズ……』
壁に手を当てて土魔法を発動させて、間仕切りを作って小部屋を完成させた。
「後は転移魔法陣を設置っと、ホイッ」
『バチバチッ!』
「これで、いつでもファミリアへ帰れるね!」
エリカとルカは口を『ポカ~ン』と開けたまま目の前の出来事に驚いていた。
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