第44話 ハルカ様みたいに…

 ファミリアの周辺を警戒する事を決めた翌朝の朝食では、子供達へインビエルノ王国からの調査団が来てる事と、私達が追跡対象だと伝えた。


「そんな訳で、調査団がトーレス町に滞在してる間は、ファミリア周辺とはいえ単独で行動は控えて欲しいの。果樹園や菜園での作業も私達に声を掛けてくれたら、一緒に作業をするからね」

「あの、誰に声を掛けても良いんですか?」


 菜園の作業をしてるアグリが質問をしたので、私は頷きながら返事をした。


「誰でも良いよ。空いてる者なら誰でも良いよ」

「ハルカ様でも?」

「うん、喜んで手伝うからね」

「「ありがとうございます」」


 私が笑顔で答えると、アグリを含めた4人全員が、嬉しそうな顔をしながら大きな声で返事をした。その様子を見ていたルカが私にウインクしながら喋りかけた。


「これは、ハルカさんの争奪戦になりますよ」

「そうかな?空いてれば問題ないけどね。それからもう1つ伝えておく事があるの……」


 絶対にファミリアを守りきるつもりだけど、不測の事態がないとは言えないので、4人にもある程度は身を守る力を付けて欲しいと伝えた。ファミリアへ連れて来なければ、このような事態にはならなかったので、強制するつもりはない事も同時に伝えた。


「僕は自分だけじゃなく、みんなを守れるようになりたいです」


 唯一の男の子であるヴェルジュは力強く答えると、残った女の子達も顔を見合わせてから、声を揃えて同意をしてくれた。


「「ハルカ様みたいになりたいです」」

「みんなありがとう。一緒に頑張ろうね」

「「はい!」」


 子供達との話が終わって、それぞれが自分のする事を始めた。私はルカの言った通りに全員から声を掛けられたけど。私の身体は1つしかないので日替わりで4人の作業を手伝う事にした。今日はヴェルジュと果樹園の作業へ向かったの。


 果樹園では、最初にヴェルジュから剪定や摘果などの説明を受けた。そこからは一緒に作業をしながら色々と話を聞かせてくれた。

 ファミリアに来てからは『毎日が楽しい』だとか『幸せなという意味が判った』など心の内を教えてくれたの。


 そんな話を聞いてると、私はもっとファミリアを発展させて、ヴェルジュ達のような子供達を迎えて、安心して暮らせる環境を整えたいと思ったの。


 そうなればインビエルノ王国にファミリアの存在を知られるので、同時に守る為に必要な事も考える事にした。


 そんな壮大な事をする前に、先ずは4人の子供達を自衛できる為の訓練プランを考えないとね。

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