第15話 毒殺スライム

 レベルも上がって称号の効果で体力は大幅に上がったので、〚毒針スティンガー〛と〚変幻自在〛を使った戦法を試そうと思った。その戦法は〚変幻自在〛で[槍蜂ランスビー]になって、飛べない魔物を〚毒針スティンガー〛で攻撃をして毒状態にする。その後は毒で瀕死になるのを待ってから仕留めるの。

 上手くハマればローリスク・ハイリターンになる筈だよね。狙うのは[草原猪グラスボア]と[一角兎ホーンラビット]だ。


 日中は[鳥]に狙われる危険があるので、日暮れを待って作戦開始する事にした。とにかくリスク回避を徹底する事、そのうち称号で[危機回避リスクヘッジ]とか貰えないかな?


 色々と考えていると時間の経過は早い。

 日暮れを迎えて私は林から草原へ移動していく、林を抜ける前に〚変幻自在〛で[槍蜂ランスビー]に姿を変えて飛行して草原へ出る。

 薄っすらと暗くなり[鳥]は目が効かないので、巣にでも戻ってる筈だから気にせず飛ぶ。上空から魔物探索も[夜目ナイトビジョン]と[音感知サウンドサーチ]があるので苦労はしなかったの。


『ガサガサッ』音を感知したので目を向けると[草原猪グラスボア]が移動していた。強襲して〚毒針スティンガー〛を刺しても良いけど、危機回避スライムの私は寝床へ行くまで追跡する。

『ブホッ、ブホッ』と鼻息を感知しながら追跡していくと、やっと動きが止まったので寝床に着いたのだろう、少し時間を置いてからその場所に行ってみると、横になろうとしてるところだった。少し様子を見てると『ブヒ〜』と寝息を立て始めたので、[草原猪グラスボア]の背中へ〚毒針スティンガー〛を刺す!

『ブヒッ!』と刺した瞬間に目覚めて暴れだすが、私は上空から見てるだけで毒が回るの待つだけだ。寝床の周辺に敵がいると思ってるか、激しく走り回って威嚇してるが、相手は上空なので無駄に走って血流が激しくなり毒の回りを早めるだけ。 

 やがて毒が回って効いてきた様で、徐々に動きが鈍くなり、そのまま動けなくなった。

 私は頃合いと判断して[草原猪グラスボア]の頭部へ向かって仕留める


「毒で苦しいでしょ?楽にしてあげる〚刺突スピア〛!」


『ブヒィィィ…』激しい悲鳴と共に絶命した。最弱スライムである私が、7倍は大きいと思われる魔物を仕留めたのだ。もう[最弱]は返上出来たと思った。


『マスター、見事な戦術です。』

『ありがとう♪暫くは、周辺の魔物を狩り続けてレベルを上げるね。その後は少しずつ南へ向かう事にするよ』

『了解しました』


 この日を境に、狩られる側から狩る側へと変わり、周辺の生態系の頂点へと辿り着くんだけど、それには3ヶ月ほど経った頃だった。


 第一章 完

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