第84話 スラム街再訪

 リクルト商会を、リリアの見送りを受けながら後にすると、スラム街を目指して移動する。


 大通りから外れて徐々に人気ひとけが少なくなっていく、その間もすれ違う全ての人を鑑定するけど、求めるスキルを持つ者は現れずスラム街に到着した。スラム街に入る前に鑑定しながら感じたことをエリカに聞いてみる。


「たくさんの人を鑑定して思ったけど、魔法や武術系のスキルってレアなの?」

「街中だと冒険者協会の近くじゃないというのもあるけど、上位スキルの部類だからレアといえばレアになるね。鑑定してて判ると思うけど、圧倒的に〚労働者〛が多いだろう?」


 エリカの言う通りで、すれ違う8割は〚労働者〛という見定めの難しいスキルばかりだった。どの労働に向いてるのか判れば、ファミリアに迎えるのもアリだと思うけど、ただの〚労働者〛では今のファミリアには不要かな?


「あの人達にはなにか特性はないの?」

「無いね。だから本人の努力で派生するスキルを知った時に、あたいは驚いたんだよ。無能のレッテルを貼られている〚労働者〛も努力すれば、生活魔法や武術なんかのスキルを覚えれるからね」

「では、スラム街の孤児を全て迎えても、我々が導けば有能な住民にすることができますね」


 エリカと話してると、トラパーネが話しに加わって良いアイデアを提案してくれた。小さな子供を教育すれば、ニーニョズとまではいかなくても良い人材に育ってくれそう。


「私と同じ境遇の子供を迎えるのは良いことですね。下手に自我が確立すると扱いにくいと思うので、小さな子供がベストだと思います」

「メドサンがそう言うなら、孤児を迎える場合は5歳以下にするのが良さそうだね。じゃあ、スラム街に入ってグルッと回ろうか」

「「OK!」」

「「かしこまりました」」


 私達が【傲慢の王】を壊滅させて以降は、初めてスラム街を訪れる。今は【幻魔】がスラム街を牛耳ってるのかな?まぁ、悪さをしてくれば【傲慢の王】と同様にぶっ潰すけどね。


 スラム街を女5人で進んでいくと、馬鹿な男が言い寄って来るんだけど、私に触れることなくエリカの鞭によって虚勢されていった。


『バチンッ!』


「あぎゃああああ!」

「薄汚い野郎が!あたいのハルカに近寄ろうとするだけで粛清の対象になるんだよ!」


 また1人の男が、男ではない別の存在へとなっていた。この感じだとかなりの人数が去勢されそうだね……


 そして、スラム街の住民達の住居があるさらに奥へと足を運んでいった。

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