第4話 セレナ
自分のステータスを確認出来たところで、鑑定スキルを試してみることにした。
セレナのステータスが見ることができれば、これからの対人関係にも役立つからだ。
・セレナ•••人間
・年齢•••16歳(独身)
・職業•••冒険者(Eランク)
・スキル•••水魔法Lv.1、光魔法Lv.1、生活魔法Lv.2
…。他人の秘密を盗み見るのは、どこかエッチな気分になるな。これはいかん。病みつきになっちゃう…ところを我慢しないといけないよね。うん。
「う~ん…」
俺が変なことを考えてるうちに、もぞもぞとセレナが動き出した。
そろそろ起きそうな気配だ。シーマくんの記憶にはあるが、守としては初対面なだけに、楽しみであるのと同時に少しばかり緊張する。
幸いにして、シーマくんも俺も性格が大きく違わないのだが、それでも気をつけるにこしたことはない。しばらくは人格が変わったことがバレないようにしていくつもりだ。
「シーマ…。いつから目が覚めたの?」
「ついさっきだよ…。セレナがずっと看病してくれてたんだろ? ありがとな」
セレナが急にガバッと起き上がり声をかけてきた。起き上がった弾みで揺れた大きな胸に一瞬目を奪われたが、理性で持ち直してセレナを見つめる。
シーマくんの記憶でかわいいことは知っていたが、改めて見るとドキドキする。元の世界で言えば、クラス役員に選ばれるようなタイプだ。
そんなことはお首にも出さずに俺はセレナを落ち着かせるように静かに答えた。
「突然気を失っちゃうんだもん、ビックリしたよ。それで、その…さ。記憶のほうはどうなの? 全部覚えてるの?」
「あぁ、気を失う前のことは思い出せるよ。残念なことにね…」
「それなのに、どうしてそんなに落ち着いていられるの?あんなことがあったのに!」
「もちろん、目が覚めた時は大変だったさ。気が狂いそうだった」
「そうだよね、そうなるよね。ごめん…」
セレナは伏し目がちに答えて俯く。
彼女にとっても悲しいことだったのがよくわかる。
「俺も悪い夢だったらよかったのにって思ったけど、悔しいことに現実だった」
「…」
「もう父さんも母さんもいないんだ。俺は1人で生きていくしかない。いつまでも泣いてたら2人に笑われちゃうよ」
「そんなこと…」
「いや、もう笑われてるかも。冒険者なんだから強く生きなさい!ってね」
多くを喋らないセレナを安心させるように語りかけた後で、一番気になっていたことを聞いてみることにした。
「それと宿のことが心配なんだけど、今はどうなってるの?俺はどれだけ気を失ってた?」
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