第117話 ハンバーグ
陽が落ちる前にシェリルは戻ってきた。
アイテムボックスを見てみると、なかなかの量を買い込んできたようだ。
フィリア王女達の衣装はもちろんのこと、密かにお願いしていた食材やポーション類についても結構な量だ。
「何事もなさそうでよかったよ、シェリル。本当にありがとな」
「ううん。ボクも久しぶりに知らない街で1人で買い物出来て楽しかったよ」
「本当に悪かったわね、シェリル…」
「シェリル殿、ありがとうございました」
フィリア王女もアルテさんも申し訳なさそうに声をかけてきた。
「いえいえ、何だかんだでボクもとても楽しめたので大丈夫です。ただ、お2人のための衣装はボクの独断ですので…」
「そんなの変装が出来てれば問題ないわよ」
「そうですとも、シェリルさん」
「今日はもう遅いので、明日から着て見て下さい」
シェリルは最後にそう言って、2人それぞれに服を手渡した。
「よし、シェリルも無事に帰ってきたことだし、家を出して夕食の準備をしよう」
------------------------------------------------------------
「シーマさん、それは何?」
俺がキッチンで準備をしてると声をかけられた。
声をかけてきたのは、何とフィリア王女だ。
どうしたのかな?
よっぽどお腹が空いて耐えられなくなったか?
「これはレッドボアとオークの肉を細かくして混ぜ合わせたものです」
「初めてみる料理ね。お肉を細かくする理由はあるの?」
「あるにはあるんですが、大した理由ではないです。2つの肉を混ぜ合わせるのも何となくですしね」
「ふーん…。それでも貴方の料理だものね、楽しみにしてるわ」
そう言ってフィリア王女はキッチンを後にした。
いったい何だったんだろう。
新しい料理に反応したのかな?
まぁ、いいか。
ハンバーグ焼こ。
「お待たせしました。こちらが今日の料理になります。これはレッドボアとオークの肉を細かくして混ぜ合わせて焼いたもので、最後に塩を振ってます」
「へぇー。ボクたちもこれは初めて食べるね、セレナ」
「そうね。味見もしたことない。でもシーマのことだから大丈夫なんでしょ。さぁ食べましょ!」
そう言って、セレナとシェリルはハンバーグをフォークで割って口にする。
「「うまっ!!」」
よし。
第一段階クリアだ。
「早速私達もいただくわよ、アルテ!」
「楽しみですな」
セレナとシェリルの反応を見て、フィリア王女達も同じように口に運ぶ。
「これは…美味しいわね」
「そうですな。昨日とは違う方法ですが肉をまるごと味わえる。実に面白い」
よかった。
フィリア王女達の評価も上々だ。
本当はデミグラスソースが作れればよかったけど、材料も時間もなかったからなー。
あえて塩のみにしたけど、逆に肉の甘みと旨みが際立つようになった。
合い挽き?!にしたのも何となくだったけど、結果的には正解だったのかもしれないな。
また1つ、精龍亭に持ち帰れる料理が出来た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます