第207話 続々・打ち明ける



「それにしても、シーマさんが異世界の知識を持った女神エルピスの使いとはね...」


「今まで黙っててすみません」


「ううん、そうじゃないの。打ち明けてもらえたことが嬉しいの。だって、私の他にこのことを知ってるのはセレナとシェリルだけでしょ? 遂に私も嫁入りかなって...」


「?」


「「...あちゃー」」



嫁ズが両手で顔を覆っちゃってるよー。

これは万事休すなのか?



「えっ? これってそういう流れじゃないの?」


「「「...」」」


「女神の使徒なんて、王女の嫁ぎ先にピッタリじゃない!!」


「「...シーマ、どうするの?」」



いかん。

このままでは嫁ズにも怒られてしまう。



「い、いや、ゼスト国王がダメって言うんじゃないかな...」


「それじゃ、早速聞いてみよっか? 明日は貴族会議の日だけど、どうにか非公式で会えるかどうか確認してみるね。どっちみち聖女救出の件は話さないといけないし。早速アルテにお父様の予定を聞いてきてもらうわ」



フィリア王女はそう言って部屋を出て行った。



「結構大変なことになってきたな...」


「聖女様を救出するんでしょ? そりゃそうでしょ」


「シーマと一緒にいるといろんなことがあるよねー」



俺が独り言のように呟くと、嫁ズがしょうがないよとばかりに言葉を続ける。

確かにそうなんだよなー。もっと静かで楽に暮らしていけたらいいんだろうけど、どこかで苦しんでる人がいると分かっていて、それを救える手段があるなら動かない訳にはいかない。女神様の依頼ならなおさらだ。

だから俺も、覚悟を決めて飛び込むしかないんだ。



「ねぇ、シーマさんお腹空いた。何かない?」



アルテさんに指示して部屋に戻ってきたフィリア王女だが、どうやら腹が減ったらしい。



「この時間だから軽いものしか出さないですよ」



俺はそう言ってフライドポテトをテーブルに出した。

夕飯を終えた後だもんな。

おやつ程度のほうがいいだろう。



「これも異世界の料理なのよね?」


「そうなりますね」


「シーマさんの料理が特別な理由が、まさかそんなところにあったとはね...。もっといろんな料理が作れるの?」


「食材と調味料次第ですかね。」


「この国に無くても、他の国にあればいいのよね?」


「それってまさか...」


「そう!! これからエピリシア教国に行くじゃない? 何かあるかもしれないわよね♪」


「...」



遊びに行くんじゃないんだけどな...。



「姫様、ゼスト様の予定を確認しました。明日は貴族会議ですが、朝早くなら大丈夫だそうです」



急いでヒーラに戻ってきたアルテさんが伝えにきた。


また謁見なのか......はぁ。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る