第100話 マイホーム
「これだよな?」
「これのことよね?」
「うん、これのことだね」
「...デカくね?」
俺たちはロナルドさんたちから譲り受ける家を見に来たのだが、予想を超える大きさに驚いていた。
もうちょっと小さくてもよかったんだがな...。これじゃ出せるところが限られそうだな。
俺は認識阻害の魔道具を取り出して、この家全体を覆えるか試してみた。
「どうだ、セレナ?」
「うん、問題ないみたい。ぐるっと回ってみたけど、ちゃんと隠れてるわ。
あと、まわって初めて気付いたんだけど、向こう側には厩舎があるの!」
「ホントか? これでシェスターも休めるな!」
「「シェスター?」」
「俺が勝手に考えた馬車馬の名前だよ」
「あぁ、あのシーマにやたら懐いてる馬ね!」
いやいやセレナさん、言い方ってものが...。
「いつの間に名前考えるほど情が湧いちゃったのかな」
シェリルさん、あなたたちが魔物相手にヒャッハーしてる間にお留守番同士で仲良くなっただけですが...。
「もっともその名前で呼んだことはないけどね」
「呼ぶ前から結果なら分かってるわよ」
「そうだね。受け入れるに決まってる」
「そうかなー?」
「「そうなの!!」」
何で2人して微妙に怒ってるの?
まさか馬相手に妬いたりしない...よね?
このままだと何となく俺の分が悪いので、話を変えて家の中へと入っていくことにした。
「おっ、思ったよりも結構家具が揃ってるなー」
リビングにはソファーとテーブル、2つある寝室にはセミダブルくらいのベッドとシングルのベッドがそれぞれ置いてあった。
家は少し古そうな割に、家具はどれも新しそうだ。取り替えずに使えそうで安心した。
「何だか私たちのために揃えたのってくらいどれも新しそうね」
「そうだね。この感じならそのまま使えそう」
セレナもシェリルも同じことを思っていたようで安心した。
あとはキッチンか。
「キッチンはどうなの、シーマ?」
「器具はひと通り揃ってるみたいだから問題ないけど、調味料と冷蔵の魔道具が欲しいな」
「冷蔵の魔道具かー。会長に言えばくれるんじゃない?」
「それだと俺たち貰ってばかりじゃないかな?」
「でも、欲しいんでしょ? だったらボクから言っておいてあげるよ」
「助かるよ、シェリル」
俺は家を確認し終えた後、外に出てから家を丸ごと収納した。
「「…」」
「本当に収納しちゃったよ。しかも、またまだ入れられるっぽい。アイテムボックスってスゲーな。今さらだけど笑」
「本当に今さらね笑」
「ねぇシーマ、今度は家を出してみてよ」
「そっか、出せなかったら意味ないもんな」
そう言って俺は元の位置に、家を取り出してみた。
「大丈夫そうだな。後はちょっと買い出しに行くくらいで済みそうだ」
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