第158話 モニター



化粧水を完成させた後は、昨日の煮込みの続きをしながら、ひたすら肉の下処理をすることに費やした。明日は外で燻製をするつもりなのでその準備と、ハンバーグ用のタネ作りだ。

どちらも時間がある時にしか出来ないからな。出来る限りのことをやっておく必要があるのだ。

しかしながら、ハンバーグのタネはアイテムボックスに入れられるが、燻製用の肉は漬け込みがあるから時間を止めてしまうアイテムボックスに入れられないのが難点だ。仕方ないのでもともとキッチンに置いてあるのと俺の持ち合わせの冷蔵の魔道具の中に、片っ端から詰め込んでおく。



そんなこんなでバタバタしてたら、イルマさんがウロウロし出したのを見て、あっという間に1日が終わりに差し掛かってることに気が付いた笑


面倒臭かったので今日の夕飯もシチューにしようかと思ったけど、2日連続はつまらないかと思って、結果的には簡単なレッドボアステーキとサラダにした。

イルマさんは若干残念がっていたが、食べ始めると「今までとの違い」に気付いたのか、黙々と食べ進めていた。


食事を終えた後、嫁ズと部屋に戻った俺は早速今日のメインイベントに取りかかることにした。


化粧水のテストだ。


いつも通り、寝る前に着替えてから身体にクリーンをかけて、着替え済みのものはウォッシュする。

そして俺は意を決して2人に語りかける。



「セレナとシェリル、これは今日俺が作った化粧水なんだ」


「「化粧水?」」


「あぁ、そうだ。化粧水と言っても化粧をするわけじゃない。肌のみずみずしさを保つためのものなんだ」


「もしかして、これがイルマさんから頼まれていた薬草を使ったものなの?」



セレナは最近イルマさんとほとんど一緒に過ごしているだけに、やっぱり薬草の使い道には興味があったようだ。



「まぁそうなんだけど、イルマさんに伝えるかどうか迷っていてね…。そこでさ、まずはセレナとシェリルに試して欲しいんだ」


「試せばいいんでしょ? いいわよね、シェリル?」


「もちろんだよ。むしろその役割は誰にも譲らない笑」


「嫁として失格だよね笑」


「セレナいいこと言うね。ボクもそんなこと言ってみたい笑

でも、ボクも気持ちは一緒だよ」


「2人ともありがとう。それじゃあ、2人とも両手を出して」



俺は2人の手にそれぞれほんの少しの化粧水を垂らした。



「これを両手で顔に付けてみて。そうだな…この化粧水を染み込ませるような感じでやってみて」


「うわっ、レモンのいい香りがする」


「ホントだ。スゴそうだね、これ」


「どうだ? ヒリヒリしたりしないか?」


「うん、何も問題ないよ。痒くもないしね。シェリルはどう?」


「ボクも嫌な感じはしないね。むしろレモンに包まれてるように爽やか」


「あっ、それわかる!!」


「じゃあ、後はそのままにして明日の朝まで様子を見ようか」


「「わかった…けど」」


「けど?」


「このまま寝ちゃうのもねー、シェリル?」


「そうだ。化粧水を作ってくれたお礼に、ボクたちがシーマをイロイロと癒してあげようか?」


「それ、いいわね。ふふふっ」



その後、俺はこってりと絞られた。

いや、癒されたよ。

確かに癒されたけど…。




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