第323話 肩書き



「それはさすがに無理じゃないか?」


「何で?」


「何でって…婚約もしてないのに…」


「それは…もしかしたらお父様が許してくれるかもしれないじゃない?」


「それは確か、結婚を自由にするお願いじゃ…」



最初はクラリスの件で書状を急いで届けたいのかと思ってたけど、本当はこっちがメインなんじゃないかと思わずにいられないくらいに必死なんだよなー。何でだろう?



「馬鹿ね。そんなのは建前よ」


「…」


「シーマさんと結婚するために決まってるじゃない‼️」


「…」


「まぁ、お父様も私の真意には気付いてるでしょうから、それも含めた答えになるでしょうね。そして…」


「そして?」


「それは必ず了承されるわ‼️」


「それはまだわから…「わかるのよ‼️」…ない…」


「何で…」


「シーマさんは私はもちろん、この国にも絶対必要な人だからよ」


「…」


「エルピス様の使徒であることもそうだけど、貴方の特別な料理は人を幸せにするわ。それは、私が今まで直接感じてきた事だから間違いないわ」


「…」



まぁ、確かに前の世界の知識で料理はしちゃってるけど、それよりもやはりエルピスの関わりがあるってことが大きいんだろうなー。

一応、あんなんでも神様だからな…。



「でも、1番の理由はクラリスのことね…」


「えっ?」


「クラリスとは以前から交流があったけど、彼女があんなに変わるとは思ってなかったの。しがらみから解き放たれて自由になったこともあるのかもしれないけど、貴方に出会って明らかに変わった。悔しいくらいに素敵で魅力的な女性になったわ。そして貴方と婚約して幸せを手に入れた…」


「…」


「私もあのようになりたいの…」


「…」


「セレナやシェリル、そしてクラリスのようになりたい。みんなと一緒に幸せになりたい…。そのためなら…」


「ん?」






「私は、王女じゃなくてもいい‼️」





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る