第135話 報告



「それでフィリア。私達だけをココに集めた理由を教えてもらえるかい?」



ゼット王子がフィリア王女に聞いた。

ゼット王子は何というか『 ザ・王子様』だ。背は高く、やや長めの金髪にイケメン。何の欠点も無さそうな感じだ。



「そうね。それは確かに気になるわね」



ソニア王妃も理由が気になっているようだ。何故自分の母親である第3王妃でなくて、第一王妃を呼んだんだろう。

ちなみにソニア王妃は見た感じでは清楚美人系だ。透明感が半端ない。だが、結構芯はしっかりしてそうだ。手強いかも。




「私達はエピリシア教国に行き、予定通りの公務を終えた帰りの道中、レッドボアの群れに襲われました。突然だったこともあって護衛の騎士は全て倒され、絶対絶命の時に、このディオランサの3人に助けていただいたのです。

その後、私達はこの方々に王都までの護衛を依頼しました。どこの街にも寄らずに王都までお願いしますと。

しかしながら、ポルテにスタンピードの予兆があったので街を守るために戦ってもらい、無事に沈静化した後で王都へ到着した次第です」


「確かにポルテからはスタンピードの報告があった。そこにお前達がいたとはな...」


「私はディオランサにもう一つのお願いをしました。王家の馬車で帰り、騎士の亡骸をご遺族にお返ししたいと」



「!!」×4



「お父様、お義母様、それにお兄様と騎士団長も。これから目にすることはご内密にお願いします。これはディオランサとの約束なのです」


「わかった」

「わかったわ」

「いいよ」

「承知しました」



「それではシーマさん、まずは馬車を出して下さい」


「わかりました」



俺はそう言って、アイテムボックスから壊れた王家の馬車をみんなの前に出す。



「アイテムボックス!!」×4



王家の人がこれだけ驚くんだから、それだけ使える人が少ないってことなんだろうな。

参ったなー。

もう後には引けないもんな。

覚悟を決めるしかない。



「シーマさん、騎士の遺体を全部出して下さい」


「わかりました」



俺はフィリア王女に言われた通りに、アイテムボックスから全員分の遺体を出した。



「確かに全員です。まさかレッドボアに...全滅させられるなんて...」



騎士団長が泣いている。

大切な同僚だもんな無理もない。



「シーマくん。フィリアを助けてくれた上に、ポルテも守ってくれた。報酬はもちろん出すが、フィリアの父親として、オルティア王国の国王としてお礼を言わせてくれ。本当にありがとう」


「シーマ殿。私からもお礼を言わせて欲しい。騎士の遺体を届けてくれてありがとう。そして、騎士の代わりにフィリア王女様を守ってくれてありがとう」



アイテムボックスのことはバラしてしまったけど、この2人からお礼を言われるなんて思ってなかっただけに、そんなことどうでも良くなったな。


いい仕事出来たのかな、俺。



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