第225話 エピリシア教国
その後、俺たちは国境の橋を越えて、エピリシア教国に入った。
これからは首都であるエルブライトを目指すことになるのだが、その前に大きめの街へ寄って情報を仕入れようということで、クローツが次の目的地になった。
フィリア王女の情報によれば、クローツは街の規模ももちろんだが、そこの教会も重要な拠点となっているとのことだ。
早めに行って聖女の現状を把握しなくちゃな。
「フィリア王女はエピリシア教国には何度か行ってると思うんですが、どんな国なんですか?」
俺は何となくエピリシアがどんな国なのか気になってフィリア王女に聞いてみた。
「エピリシア教国は女神エルピス様を崇拝する宗教国家よ。だからというわけでもないけど、国王が教皇として教会も運営しているわ」
「教会を国から切り離して力をつけると対抗勢力になりかねませんからね…」
「そう。だからそういう意味では政治的な組織と教会があるから、変わった組織構造ではあるわね。ただね、その中で一つ例外があって、代々の聖女だけはエルピス様からのお告げによって決まるの」
「えっ? それだと現聖女のクラリス様は女神エルピス様のお告げによって決められたってことになりますよね?」
「そうよ。それは私も本人から聞いてるから間違いないわ」
「お告げによって決まるんだったら、交代で騒動になるようなことにはならないんじゃないですか?」
「今回私が一番気になるのはソコなのよ。
何者かがお告げがあったとか言って、無理矢理に聖女の座を奪おうとしたとしか思えないのよね」
「神様のお告げって、姿が見えないから曖昧な部分が多いですからね…」
「ただでさえ、クラリスはエルピス様の生まれ変わりって言われているくらいの美しさだから、妬みとかもたくさんあったんじゃないかしら」
「えっ? そんなに似てるんですか?」
俺はエルピスのありえないくらいの美しさを知ってるからな。そこはどうしても気になってしまう。
「「シーマ…」」
あれっ?
またもや嫁ズが呆れている。
だってしょうがないじゃないか。
俺も男の子だからね。
「いろんな教会に置いてあるエルピス様の像があるでしょ? あれとは少し違くて、シーマさんの持ってるエルピス様の像が、クラリスに一番似てるかもしれないわね」
アレに似てるんだったら、かなりのもんだ。しかも、聖女になれる素質もあったんだろうし、そりゃ妬みとかはあるだろうなー。
実際に聖女クラリスと会っても、エルピスと勘違いしちゃうかもしれないな。そこは気をつけるようにしないと…。
「とにかく早く見つけて救い出さないといけませんね」
「そうね。そのためにも早くクローツまで行って情報を集めましょ。エルピス様からはその後の指示とかはないの?」
「そう言えば、何も言って来ませんね…」
今日の夜にでも聞いてみようかな。
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