第226話 誰の子?



「聖女クラリスは、今はまだエルブライトにいるようですが、どのような状況なのかはわかっていません」



俺は早速エルピスに会って聞いてみたのだが、このような回答だった。



とりあえずはエルブライトに向かうしかないんだろうな。何かあったらその時その時でベストな選択をしていくしかない。


「私のほうでも何かわかりましたら、お伝えするようにしますね」


あぁそうだね。

よろしく頼むよ。


「それはそうと、早く出てきなさいよ。アルテナ姉さんに報告するわよ!!」


ん?

急にエルピスが口調を変えたぞ。

何を言ってんだ?


『ハハハ…やっぱりバレてるよねー』


!!

シータがアイテムボックスから勝手に出てきた。


「シータなんて素敵な名前を付けられて浮かれてんじゃないわよ。この前いきなりあなたの魔力を感じたからビックリしたわ。あなた今まで何してたの?」


『エルピスは相変わらず厳しいなー。あたし、前の主がいなくなってからずーっと適合者がいなくてねさー、武器屋の片隅で干からびてた笑笑』



ん?

適合者って何だ?

俺のこと…なんだろうな…きっと。



「あなたが復活したことを、アルテナ姉さんは知ってるの?」


『いや、知らないんじゃないかなー。特に伝えてないしねー。

そもそも、ママはこの世界がつまらなくなってエルピスに預けたんだから、気にしなくてもいいんじゃない? ママが戻ってきたら大変なことになるよー』


「それもそうね。アルテナ姉さんが来たらせっかく穏やかになったこの世界が、めちゃくちゃになりそうだし…」


『でしょ? あたしも今が楽しいからこのままがいいー。エルピスもそうでしょ?』


「まぁ、そうね。シーマくんを異世界から連れて来てからは楽しくなったかな」


『わかるわかるー。あたしなんかずーっと一緒にいるからさー。楽しくて楽しくて…ってあれ? エルピスどうかした?』


「…あなたはいいわよね。シーマくんとずっと一緒にいられるもんね。

ん? ちょっと待って?

アルテナ姉さんを呼び戻したら私が下野してもいいってことよね?」


『いやいや、あの戦闘ママを連れてくるのはどうかと思うよー。世界が戦いで溢れちゃうよー』


「そうなんだけど、それと引き換えにしてでも下野し…」



2人とも、ちょっと待った!!



「?」


『どうかした?』



世界が戦いで溢れちゃダメでしょ。

そもそも、シータのママ?のアルテナさんって誰? そんなに戦いが好きなの?


「アルテナ姉さんは戦いの女神なのよ。ちなみに私は癒しの女神。ぴったりでしょ…」


戦いの女神って…ヤバくね?


「おーいシーマくーん。癒しの女神ってとこ、ちゃんと聞いてたかなー?」


そうか、だからシータが魔刀なのか!!


「まさかのガン無視…」


エルピスが下野するのもいいかもしれないけど、世界が戦いだらけになっても嫌だな。生きずらそう…。


「そうですよね! シーマくんも私が下野したほうがいいんですよね!! だったら、戦いばかりの世界なんてへっちゃらですよ」


いやいや、そう簡単に神様変えちゃいかんでしょ。


『あたしは戦いばっかでも大丈夫だよー。むしろ望むところだし、バッチこーい!!』


まぁシータはそうだよな。

刀だし…。





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