第171話 食事会
「まぁ、そんな訳だからこれからもよろしくな」
「頼む」
フォルティスさんとオルテガさんがやたら恥ずかしそうに言ってきた。普段は見れない姿に思わず吹き出しそうになるが、グッとこらえて俺も言葉を返す。
「きっかけが俺というのが気になりますが、皆さんが幸せならそれが一番です。今日はお祝いの意味を込めていっぱい料理を出しますね」
「ありがてえ笑」
「楽しみだ」
フォルティスさんにもオルテガさんにもお世話になってるからな。ましてやお祝いの席となれば出し惜しみなどしてはいられない。最初から飛ばしていこう。
「フィリア王女、アイゼンの幻陽のお祝いを兼ねた食事会、準備を始めてよろしいでしょうか」
「もちろんよ。始めてちょうだい」
「わかりました」
フィリア王女の許可を得たので、俺は準備を進めることにした。
とはいっても、全て作ってアイテムボックスに入れてあって順番に出すコース方式にするつもりから、取り皿とカトラリー、そして飲み物を準備するくらいだ。
「今日は料理をアイテムボックスの中にたくさん準備してありますが、全部を一気には出せないので、1品ずつ大皿でテーブルに出していきます。好きな分を取って食べて下さい。ただ、最初からいっぱい食べると、後に出てくる料理が食べられなくなるから気をつけて下さいね」
「これは、なかなか難しいな」
「あぁ、お腹のコントロールが必要だな」
フォルティスさんとオルテガさんが既に怪訝な表情をしているな。全部食べるつもりだったのかなー。
でも、先にキツくなるのはどう考えても女性陣だ。一応デザートとしてプリンを用意してあるが、果たしてそこまで辿り着けるのか...。
「まずはサラダです。好きな量を取ってもらい、こちらのソースをかけて食べて下さい」
ソースとはドレッシングのことだ。
オニオンドレッシングを完成させたからこそ出来たサラダだ。
ちなみにこれは誰にも食べてもらったことがないが、当然味見はしてるし、まぁ問題ないだろう。
「この甘酸っぱいソースがいいですね」
「野菜とよく合う。毎日食べてもいい味だ」
「ねぇ、シーマ...」
おぉー。
いきなりフィリア王女とオルテガさんからいい評価をもらえた。幸先いいな。
ん?
逆か?
後が怖いかも...。
いやいや、エテルナさん。
小声で『後でソースだけちょうだい』って...。別に構わないけど、俺からもらったってすぐにバレるぞ。
それと、
みんな勢いよく食べてるけど大丈夫?
さっきの俺の言葉忘れてないよね?
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