第140話 王都のギルド
「シーマ達は冒険者ギルドに行くんだろ? その間に部屋を片付けておくよ。馬車は裏のスペースに置いておきな」
俺たちはイルマさんに案内されて、シェスターを裏の空き地にある厩舎だったような場所へ連れて行った。
シェスターは周りをキョロキョロした後で、どうやらお気に召したのか、俺に頬ずりしてからその場に座り込んだ。
「…。シーマも変わってるけど、馬もなかなかのもんだね。これだけ感情が分かる馬なんてそうそういないよ。シーマが大好きなのが私にも伝わってくるからね」
「「「…」」」
「ん?! どうかしたのかい?」
「いや別に、何でもないです…。それじゃ、俺たちは冒険者ギルドに行ってきますので…」
「あぁ行っといで」
何だか微妙な空気になってしまったが、取り敢えず俺たちは冒険者ギルドに向かった。
この大通りを行けばわかるとのことだったがその通りだった。ひと際大きなその建物には剣と盾が飾られていて、一目で冒険者ギルドだと認識出来る。さすがは王都のギルドだ。
扉を開けて中に入るとさらに驚きの光景が広がっていた。
とにかく広い。
受付の数もコスタに比べたら段違いだ。
依頼書も多数掲示されている。
そんな感じで規模の大きさに圧倒されていたら、受付から黒髪ロングのやや年上っぽいスタイル抜群の女性が声をかけてきた。
「冒険者ギルドへようこそ。本日はどのようなご用件ですか?」
「………痛ッ!」
話しかけてきた黒の受付嬢のスタイルに見惚れていたら、両脇から肘で突っつかれた泣
「シーマの女好きはどうにかならないのかな、セレナ?」
「ホントよね。何かの病気なのかと思っちゃうよ」
「…すみません」
「あのぉ…ご用件は…」
おっと、嫁ズにお叱りを受けてて本題を忘れてたよー。ごめんね、黒の受付嬢さん。
「俺はコスタで冒険者をしているシーマと言います。Aランクパーティーのアイゼンの幻陽から王都に来るように言われていたのですが、何か連絡は入っていますでしょうか」
「確認しますので少々お待ち下さい」
そう言って黒の受付嬢さんは席を立って奥に引っ込んだ。
ザワザワ…
(おい、アイツらアイゼンの幻陽に呼ばれたらしいぞ)
ザワザワ…
(見たことない顔だな)
スゴいな。
アイゼンの幻陽の名前を出しただけでコレだ。改めて彼らは大物なんだなって、王都に来ると余計に感じる。
今度会ったらちょっとは敬意を示したほうがいいな。
…なんて考えてたら、突然大きな声がギルド内に響き渡った。
「よう、シーマ! 久しぶりだな!」
声の主はフォルティスさんだった。
何故か黒の受付嬢と同じところから出てきたのだが。
「フォルティスさん、お久しぶりです。まさかギルドの中にいるとは思ってませんでしたよ」
「ちょっとギルド長に呼ばれてな…。3階の部屋にエテルナとオルテガもいるからお前らも来いよ。クレアもいいよな?」
「…おそらく問題ないかと」
へぇー。黒の受付嬢さんはクレアって名前なんだー。
「俺が呼んだ奴らだから大丈夫だ。俺が保証する」
「フォルティスさんがそこまで言うなら構いませんが、私も同行させていただきますね」
「おう。いいぜ!」
ん?!
クレアさん、言葉とはウラハラな行動だな。
フォルティスさん実はあまり信用されてないのかな?
いや、本当に信用されてないのは俺のほうか…泣
「それじゃ行くぞシーマ…ん?!」
何だ?
急にフォルティスさんの動きが止まったぞ。
「どうかしましたか?」
「そっちの赤髪の子は誰だ?」
まぁ、そうなるよね…。
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