第141話 王都のギルド長



「何度も説明するのが面倒臭いので、エテルナさんとオルテガさんのいるところで話しますよ」


「それもそうだな。でも楽しそうな話が聞けそうだ♪ ヤツらも待ってるからな急いで行くぞ!」


「「「…」」」



フォルティスさんの後を付いてギルドの3階に向かうんだけど、フォルティスさん本当に急いでるよー。

この人も変なところで子供じみてるしなー。


先にシェリルを紹介しても、また2人にも紹介するしかないもんな。どうせ突っ込まれるのもわかってるので、だったらまとめて説明しちゃった方が楽だし、何よりも恥ずかしいのも1度だけで済む。


でも、そっかー。

ギルド長はともかく、クレアさんもいるのかー。

こればっかりは誤算だな。

俺の悪事?がバレたら、もう話してくれないかもしれない泣



「あっ、シーマだ! 久しぶりー! セレナちゃんもー! あれ? 知らない可愛い子ちゃんがいるー!」



案内された部屋に入るなり、テーブルにいたエテルナさんが騒ぎ始めた。その横ではオルテガさんが静かに頷いている。これも懐かしい光景だ。



「君がシーマくんか、はじめましてだな。私はギルド長のギルバートだ。私も君たちに興味があってね、ちょっと聞きたいこともあるし、少しの間だけ同席させてもらうよ」



ギルド長に先に挨拶されちゃったよ。

強面スキンヘッドの大男。一言で言えばそんな感じだが、外見の割りには丁寧に対応出来る人のようだ



「ギルド長、はじめまして。俺はコスタの冒険者でシーマって言います。アイゼンの幻陽の皆さんはお久しぶりですね。 まずは俺たちのパーティー『 ディオランサ』のメンバーを紹介しますね。

俺の右側がセレナ。魔法と弓を使います。そして、左側がシェリル。近接戦闘が得意で魔法も使えます。2人とも俺の大事な婚約者でもあります。どうかよろしくお願いします」


「…ディオランサ」



ん?!

クレアさんが俺たちのパーティー名に反応してる?

知ってくれてるのかな?

ということは、ギルド長も?



「そうか、やはり君たちがポルタを。いや、フィリア王女を助けてくれたのか」


「「「!!」」」


「フフッ、その反応を見るとどうやら本当のようだね」


「いや、それは…」



さすがにギルド長だな。

かまをかけるのが上手いな。

王女のことを俺が勝手に喋る訳にもいかないし…参ったな…。



「つい最近、ある噂があってね」


「噂ですか?」


「先日ポルタを襲ったスタンピードからお忍びの王女を必死で守った3人の冒険者パーティーがいて、それが『ディオランサ』じゃないかって話しなんだ」


「「「…」」」


「肯定も否定もしないか…。なかなか賢いな。まぁいいさ、そういうことなら噂のままにしておくことにするよ」


「ギルド長…」


「君たちがこれからも冒険者としていろいろと活躍してくれることを願っているよ。そう…アイゼンの幻陽のようにな」


「よく言うぜ…嫌味かよ!」



ギルド長の言葉に、フォルティスさんは吐き捨てるように言った。



「フフッ、せっかくの再会を邪魔して悪かったな。それじゃ、クレア行くぞ!」



そう言い残してギルド長とクレアさんは出ていったが、この部屋の空気は何とも微妙なままだ。

どうしてくれるんだよー。



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