第142話 再会
「ねぇ、シーマ! シェリルちゃんはどうやって落としたのよ!」
ギルド長が残していった微妙な空気を変えてくれたのはエテルナさんだった。
気を遣ったのか、単に知りたいだけなのかは分からないけど、エテルナさんの性格にはこういう時に救われる。
「落としたって…。人聞き悪いこと言わないで下さいよ苦笑」
「え?! 違うの?」
「違くはないですけど…、言い方が…」
「じゃあいいじゃない! それでどこで知り合ったの?」
「シェリルはルート商会会長の娘で、本人も商人なんですが、グランツにいた時に護衛依頼で知り合った感じですね」
「ルート商会っていったら大きいとこじゃない! いい子を捕まえたわねー。護衛依頼で知り合って『 このまま君を護衛し続けたい』みたいな感じ? キャー!!」
「「「…照」」」
「…やれやれだな」「…」
聞いている俺たちが恥ずかしくなるくらい、エテルナさんが妄想で勝手に盛り上がっている。
フォルティスさん達は呆れてるから、きっといつものことなんだろうなー。
「何だかしばらく見ない間にセレナちゃんもグッと大人になっちゃったわね…。そうだ! 今度はシェリルちゃんも入れて女子会しようよ!」
「「はい!」」
「じゃあ、今度ウチらのパーティーハウスに招待するね!」
へぇー。さすがにアイゼンの幻陽クラスにもなると、王都に家を持ってるんだなー。まぁ、フィリア王女とも仲がいいと言うし、活動拠点がないと動き辛いのかもしれないな。
もっとも俺たちもパーティーハウスがあるけどな、アイテムボックスの中だけど!
「皆さん王都に家を持ってたんですね。誰が料理してたんですか?」
「…セレナちゃん、それを聞いちゃいけないぜ!」
「そうよー。私達に料理なんて出来る訳ないじゃない!」
セレナも気になってたんだな。まぁ精龍亭での様子を知ってるからな…。
フォルティスさんとエテルナさんの答えは予想通りだったけど。
おそらくこの話の流れは…。
「だから、シーマを王都に呼んだって訳よ!」
まぁそうなるよねー笑
あれ?! でも、俺たちを王都に呼ぶように言ったのはフィリア王女だったはず…。
「え?! もしかして、料理だけのために俺たちを王都に呼んだんですか?」
「い、いや、それはその…アレだな。実はシーマの料理を食べさせたい人がいるんだよ」
これは十中八九フィリア王女のことだ。
ただ、勝手に喋る訳にもいかないので、この場では知らない振りをしておこう。
「まぁ、それは全然構わないですけど…、食材だけは用意して下さいね」
「それなら大丈夫だ。俺らもアレからすぐに時間停止機能の付いたマジックバッグを手に入れて、その後もいろいろな魔物を狩ってるからな!何の問題もないぞ!」
いやいや、こっちは問題ばかりだよ。
知らない食材なんてどう調理したらいいか分からんやん。
やっぱりマジックバッグ手に入れてたのかー。この人たちの食い意地は並々ならぬものがあるよな…苦笑
「それ、まさか本当に手に入れちゃったんですか!」
「まぁな。ダンジョンにはかなり苦労したが有言実行だ!」
有言実行の過程そのものはカッコイイんだが、それを手に入れたい理由を知ってるだけにな…。
そこまでお膳立てされたらやるしかないよな…たぶん。
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