第112話 ステーキ
もう夕食の時間なんだが、何にするかがなかなか決まらなかった。
フィリア王女に何を出していいのか分からなかったからだ。
さっきは唐揚げを食べてたから、庶民の料理でも問題ないのかもしれないが…。
結局少し悩んで決めたのは、レッドボアのステーキだった。
上流階級でもステーキくらいは食べるだろうし、素材の鮮度がいいし、少し厚めにカットして柔らかく焼けば結構美味いんじゃないかな。
もし口に合わないようだったら謝ればいいや。
よし、そうと決めたからには急がねば。
「こちらが今日の夕食ですが、フィリア王女様はこんな料理でも大丈夫ですか?」
レッドボアのステーキと簡単なサラダ、そしてオニオンスープだ。
どれもシンプルに塩コショウのみでしか味付けしていない。
「何の問題もないけど...、とてもじゃないけど野営中の料理には見えないわね」
「アイテムボックスがありますからね。狩ったばかりの魔物で鮮度がいい上、家のキッチンで料理が出来ます。それが大きいんですよ」
「しかも、料理してるのがシーマだからね、下手な宿より美味しいですよ」
「そうなのよね...」
...。
俺の言葉にシェリルが後から追加してきた。気持ちは嬉しいけど、王女様に対して料理のハードルを上げないで欲しいんだけどな...苦笑
やがて、皆が食べ始めた。
「うん。やっぱり美味しいわ。レッドボアのステーキなんて何度も食べてるのに、何が違うのかしらね」
「お嬢様、これは分かりづらいところで何か工夫がされています。シーマ殿、違いますか?」
まぁ確かに柔らかくするために手は加えてるし、焼き方にも気を使った。その辺に気付くとは、さすがの執事さんだ。
「確かに美味しく食べるために手を入れてますが、大した事じゃないですよ」
「教えてはくれないんだ?」
「まだ俺もレッドボアを上手く扱えてませんからね。まだ何か出来るはずなんで今の段階で教えられることなんてないですよ」
「残念...」
「フィリア王女様。それでもこれからいろいろと分かってくることはあると思いますよ?」
「そうね。セレナさんの言う通りかも知れない。今はこれを楽しむことにするわ」
こんな俺と王女様のやり取りの間でも嫁ズはモリモリ食べていた。
最後にセレナが王女様を諭していたが、この頃にはほとんど食べ終えていたし、シェリルに至っては食べ終えていた。相変わらず逞しい。
さて、明日の朝食はどうするかな?
王女様に食べさせるようなものあるかなー。
とりあえずはまだ在庫が残っているベーコンとスクランブルエッグあたりで様子を見るとするか。
あと、せっかくレッドボアがあるから、久しぶりにハンバーグでも作りたいなー。でも、デミグラスソースがないな…。塩で食べるってのもアリか。
とりあえず、今夜の見張りの時にひき肉でも仕込もうかな。
どうせ暇だし。
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