第111話 野営地
フィリア王女と執事のアルテを乗せて王都まで行くことになった俺たち。
当初は出来るだけ魔物を多く狩るため、森の近くを通るつもりだったが、フィリア王女に万が一でも何かあってはいけないため、なるべく安全なルートへの変更を余儀なくされた。
そんな変更したルートでも時折魔物に遭遇したのだが問題なく撃退。やがて陽も暮れそうなことから、早めに今日の宿泊場所を決めて休むことにした。
一応、俺がフィリア王女に確認を取る。
「フィリア王女様、今日はこの辺で野営しようと思うのですがよろしいでしょうか」
「私たちは乗せていただいているのですよ? 私達のことは気にせずに決めてもらって構いません。それに従いますので。」
「わかりました。それでは今日はココで野営することにします」
「シーマ殿、アイテムボックスの家を出して泊まるようですが安全なのですかな?」
「はっきり言って外で泊まる以上、必ず安全ってことはありません。しかしながらいろいろと策を講じておりますので、それをご覧になってもらってから判断して下さい」
そう言って俺はアイテムボックスから家を出して、魔除けと認識阻害の魔道具を起動させて、最後にバリアで家全体を覆って終了だ。
「「...」」
フィリア王女も執事のアルテさんも無言なので俺から確認してみる。
「いかがですか?」
「いかがですかって...、これってむしろやり過ぎじゃないんですか?」
あー、フィリア王女から見ても少しやり過ぎなんだな...。
「大事な嫁を守るためですからね、やり過ぎくらいがちょうどいいんですよ笑」
「こんなに愛されちゃって...。いいわね、お2人さんは!!」
「「えへへー照」」
フィリア王女の少しトゲを感じる言葉に、なんの疑問もなさそうに、嫁ズが能天気に照れている…。
いや、可愛いよ。可愛いんだけども、それはそれでちょっと違うような...。
「フィリア王女様だって、婚約者の1人や2人いるんじゃないですか?」
「いや、いることにはいますけど、立場上決められてしまっただけで...」
まぁそうなんだろうな。
継承権の少ない第3王女とはいえ、王家と繋がりを持ちたい貴族達にとっては狙い目だ。それに加え、他の国との政治的な絡みもある。自由な恋愛とは程遠いのかも知れないな。
「いろいろと大変でしょうけど、セレナやシェリルには同世代の友達があまりいないので仲良くしてやって下さい。王女様の愚痴くらいは聞けるでしょう」
「そうだ、王女様。今日はボクとセレナと3人で寝ましょうよ!!」
「それはいいわね、シェリル。どうですかフィリア王女様?」
「えぇ、こちらこそ是非にお願いしたいですわ!! アルテよろしくて?」
「これだけの防御態勢ですし、よろしいでしょう」
「「「やった!」」」
俺も今日は女性陣だけで過ごしたほうがいいと思ってたから、シェリルがその辺の空気を読んでくれたのは幸いだった。
とても辛いことがあったばかりだ。
少しでも嫁ズといることで苦しみを和らいであげられたらいいな。
見張りはどうするかな。
一応聞いてみるかー。
「アルテさんは僕と交代で寝るっていうのはどうです?」
「問題ありません。むしろ、よろしくお願いします」
よし。これで何とかなりそうだな。
それじゃ、まずは夕食だ。
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