第156話 確認
エルピス像に祈りを捧げて、目を開けるといつもの白い空間が広がったので、どうやら成功したようだ。
「ハンバーグ下さい」
...。
目の前には、早く寄越せとばかりに手を前に出してるエルピスがいる。
登場するなり、挨拶もなしに食べ物を要求する女神って、ありえなくね?
「キラーラビットのシチューでもいいです」
いやいや、そういう問題じゃないから!!
もう、後でちゃんとあげるからまずは話をさせてよ。
「わかりました。話とは何でしょうか」
...。
何だ、この切り替えの早さは。
とっとと済ませたいのがバレバレだけどな。
まぁ、いいか。
この世界に、エール以外にお酒とかアルコールってあるの?
「ぶどう酒、つまりはワインのようなものはありますが、作れる数が少なくて、しかも貴族などが買い占めているためにほとんど流通はしていません。それ以外にお酒は無いです」
やっぱりそうか。
ワインくらいはあるだろうなって思ってたから想像通りではあるけど、出回らないんじゃどうしようもない。
その線は潔く諦めよう。
プランBだな。
「それでは、ハンバーグを...」
まだ、話は終わってないよ。
「チッ!!」
女神が舌打ちは良くないなー。
絶世の美女である女神エルピス様が食べ物欲しさに舌打ちしてる姿を見たら、信者達はどう思うのかな?
フィリア王女とかは幻滅しちゃうかもしれないな...。
「話の続きをお願いしますm(_ _)m」
俺の鑑定レベルが上がるのにはまだ時間がかかるかな?
「うーん...。これからもどんどん使っていけば、さほど時間はかからなそうですね。王都にいる間にも上がるかもしれませんが、使わないと上がりませんのでどんどん使うようにして下さい」
おぉー。
まともに答えてくれたー。
でも、たくさん使わなきゃいけないのか…。
今までは知りたいものにしかフォーカスしてこなかったけど、とりあえず何でも鑑定していくようにするかー。
「それでは、ハンバー...」
最後にもう1つ確認したいんだけど。
「...グ.........。何でしょう?」
この世界に「化粧水」って存在するの?
「!!!」
ん?
今までと反応が違うなー。
どういうことだ?
「化粧水...作るんですか!! いや、違いますね。作って下さい!!」
何だかかなりエキサイトしてるな。
作って下さいってことは、無いってことでいいんだよな?
「ええ、シーマくんの推測通りです。この世界には化粧水は存在しません。だからシーマくんが作ったら私にください。何だったら、調合スキルを今すぐあげちゃいますから」
えっ?!
何でそうなる?
神様だもん、そんなものどうにでも手に入れられるでしょ。
そもそも、超絶美女のエルピスには必要無くない?
確かに調合スキルを手に入れられるのは嬉しいけどさ...。
「相変わらずシーマくんは女心が分かってませんね。私は女神と言えども1人の女なんですよ。いつまでも美しくいたいものなんです。
しかも、手に入れようにもお供えしていただかなければなりませんが、この世界に無いものはお供えも期待できませんし、そもそも女神に化粧水なんてお供えしないかと...」
ふーん。
そうなんだー。
確かにそんなものかもしれないな。
ありがとう、エルピス。
じゃあ俺は帰るね。
「ストーーーップ!!」
ん?
何かあったっけ?
「ハンバーグとシチューは?」
女神がそんな風に首をコテッと傾けてお願いしちゃダメだろ。
いつからそんなにあざとくなったんだよ苦笑
忘れててごめん。
アイテムボックスから2皿取り出して...はい、どうぞ。
後さ、今気付いたんだけど、
俺って自分では帰れないんだった。。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます