第192話 迫り来るもの
それで、話って何ですか?
「エピリシア教国のことは知ってますか?」
あぁ。
この前フィリア王女が行ってた国だよね。確か公務って言ってたな。元々女神エルピスへの信仰意識が強い国だよね。
「そうですね。間違っていないです」
その国がどうかしたの?
「そのエピリシア教国はここ数年雨が少なく作物が不作なんです」
へぇー、そうなんだ。
それが何か関係あるの?
「だんだんと国民に不満が募り、その矛先が聖女に向けられようとしているんです」
あちゃー。
信仰が強すぎるが故の弊害ってことか…。
「そうなんです。今はまだ燻っているだけですが、それが表面化されたら聖女に危険が迫るのです」
まぁそうだろうね。
エルピスは何とか出来ないの?
「手を貸したいのは山々なんですけど、直接助けることは出来ないのです」
そこで、俺の存在か。
「そうです」
でも俺に出来ることなんてあるのかな?
「聖女は教国の象徴ともいえる存在ですから、殺されるようなことはないでしょうけど、何かあった時には動いて欲しいんです」
わかった。
そういうことなら協力するよ。
でも、そうなるといつでも出発出来るようにしておかないといけないのか。
また料理を作り溜めておくしかないのかな…。
「料理といえば、マッシュルームを手に入れてましたね」
うん。
「新作は作るんですよね?」
うん。そのうち。
出来るかどうかわからないけどね。
だってマッシュルームでしょ?
まだ何も思い付いてないしな…。
「また献上してくれるんですよね?」
えっ? 要るの?
「もちろん」
あっ、そう。
まぁ何か出来たら献上するよ。
いろいろとお世話になってるしね。
「そうですよ。だからもっと献上して下さい」
何か作れたらね…。
そういえば、化粧水ってどうだったの?
「それはもう、肌がぷるぷるのモチモチですよ!! 早く次を作って下さい」
いや、アレを作るのはしばらくフィリア王女に止められてるんだよねー。
「ガーン!!」
そんなに凹まんでもいいんじゃない?
元々が絶世の美女なんだからさ。
「それとこれとは話が別です」
あっ、そうなの?
でも、次いつ作れるかわからないんだよねー。
「だったら、王女様に内緒で作っちゃいましょうよ!!」
あのー、女神とは思えない発言なんですけど…。
「…ケチ」
前から思ってたんだけど、
エルピスってだんだん人間っぽくなってきてない?
神力って大丈夫なの?
力が落ちて下野しちゃうとかないよね?
「えっ? まさかそんなことは…」
おいおい、
冗談で言っただけなんだから、
そんなに真に受けんでも…。
「今日はこの辺で失礼します!!」
気がつくと、
現実に戻っていた俺だが、
エルピスの最後の慌て具合は気になるな。
大丈夫なのかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます