第193話 王都帰還



いろいろとエリシオンの2人に驚かれたりしたが、翌日、俺たちは無事に王都へ戻ってきた。

聞くところによると、エリシオンの2人は何度か王都に来たことがあるらしいが、そんなに詳しくはないみたいだ。


本当はすぐにでも冒険者ギルドに行って山賊の件を報告しなければならないのだが、死体が俺のアイテムボックスの中にあることでちょっとした問題になった。

ギルドにアイテムボックスのことがバレたら露骨に面倒臭そうなんだよなー。ギルバートさんやクレアさんにガッツリ利用されそうだもん。

かといって、こんなことでアイゼンの幻陽に協力してもらうわけにもいかないし…。

これはちょっと参ったな。


しょうがない。

フィリア王女に相談するしかないか。



「クリスさん、ノエルさん。山賊の死体が入ってるアイテムボックスのことを、冒険者ギルドは知りません。ギルドへの報告はちょっと相談してからでも構いませんか?」


「うん。僕達は全然構わないよ。なぁノエル?」


「そうね。特にこれといって予定はないしね」


「2人とも時間を取らせてすみません。それでは、このまま僕たちが泊まってる所に向かいますね」



俺はそのまま馬車を進めてヒーラへと到着した。

いつもの場所に馬車とシェスターを置いてお店に入ろうとした時、ノエルさんから声がかかった。



「ねぇシーマくん、ココってあの有名な『ヒーラ』よね?」


「有名かどうか俺にはわからないんですが、ココは『ヒーラ』ですね」


「何でヒーラに泊まっているの? あのイルマさんが住んでいるんじゃないの?」



何だか、珍しくノエルさんが興奮してるなー。

やっぱりイルマさんってスゴい人なのかな?笑



「そのイルマさんに泊まっていいって言われてるんですよね…。食事は作らされてますが」


「それって物凄いことよ!! 食事のこともそうだけど、よっぽど気に入られてるのね…」


「えっ? そうなんですか?」


「「…」」



参ったな…。

まだヒーラに入る前なのに、早くもエリシオンの2人に呆れられているぞー。


もしも、この中にフィリア王女でも居たりしたら気絶しちゃうんじゃないかな…。


俺はそんなことを考えながらヒーラの扉を開けた。



「シーマさん、帰ってくるの遅いよー!!」




あっ、いたよ笑





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る