第191話 帰り道
「シーマくん達は馬車も持ってるんだね…」
山を下りてきて、隠していたシェスターと合流した時にクリスさんが呟いた。
「シェリルはルート商会会長の娘なんですよ。その伝手でもらっちゃいました」
「ルート商会っていったら結構大きいところよね。そこの娘さんがシーマくんのお嫁さんになるなんて驚きね」
「まぁそうですね。俺もビックリです笑」
「でもノエルさん、 ボクが嫁になったくらいで驚いてたら、王都に着いた時に気絶しちゃいますよ。ね、セレナ?」
「そうだね…」
「えぇー。王都で何があるの?」
「「それは着いてからのお楽しみです」」
「って、彼女達は言ってるけど、シーマくんはどうなの?」
「嫁たちが喋らないのに、俺が喋る訳にいきませんよね笑」
「わかった。そこまで言うなら王都まで楽しみにしておくわ。気絶はしたくないけどね笑」
「「「そうして下さい笑」」」
エリシオンも乗せた馬車は、俺とシェリルが御者を交代しながら、シェスターの頑張りもあって、夕方頃には王都までの距離の半分くらいは戻って来れた。
岩場のあるちょうどいい場所があったのでそこで家を出して泊まることにした。
「クリスさん、ノエルさん。今日はこの辺で泊まりますね」
「うん」
「わかった」
俺はいつものようにアイテムボックスから家を出して、魔道具をセットし、バリアを張る。
ふと振り返るとエリシオンの2人が口を大きく開けたまま凍りついていた。
あっ、ヤベー。
何の説明もしてなかったわ笑
「これはいったいどういうことなんだい?」
「王都に着く前に気絶するかも」
まぁそうだろうよ。
初見ではそれが正しい反応だと思う。
「詳しいことは中に入ってから説明しますよ」
「「う、うん」」
俺はリビングのテーブルのみんなに紅茶を出してから話し出した。
「まず、この家はルート商会の会長が娘であるシェリルの婚約祝いにくれたものです。それを俺はアイテムボックスに入れて持ち歩いているんです。簡単に言うとそんな感じです笑」
「本当に簡単に言うね…苦笑」
「シーマくん、それがどれだけ凄いことなのか、わかったほうがいいわよ」
エリシオンの2人が呆れ返ってるな。
他から見たら、これが本当の反応なんだろうなー。
「シーマはいつもこんな感じですよ。ね、シェリル?」
「そうだね。ボクたちもだんだん驚かなくなってきたしね苦笑」
確かに嫁ズはずっと一緒にいるからな。
いちいち驚いてたら心が持たないようなことの連続だったし…。
慣れって怖いなー笑
「そういえば、外の見張りはしなくていいのかい?」
「一応、魔除けと認識阻害の魔道具を起動してますし、家の周りにバリアを張ってますからね。相当なことが無い限りは問題ありませんよ」
「「…」」
あー。また2人が呆れてしまった。
でも、間違ったこと言ってないしな…。
「僕もシーマくんと結婚しようかな…苦笑」
「クリスがそうするなら私も…苦笑」
おいおい、君たち遂に壊れたか?
変な事口走ってるけど大丈夫?
「冒険ってこんなに快適でいいのかな笑」
「シーマくんといるといろいろな概念が崩れちゃいそう笑」
「本当ですよね笑」
「ボクたちもそう思います笑」
あれ?
嫁ズがいつの間にか、エリシオン側に付いてないかい?
俺だけアウェーなのか?
俺にはエルピスしかいないのか?
「やっとわかってくれたの?」
!!
いやいや、突然頭の中に話しかけないでよ。ビックリするじゃん。
っていうか、よく俺の事見てるよな笑
「そんなことよりシーマくん、ちょっと落ち着いたら会えるかしら? 話したいことがあるんです」
何か嫌な予感がするな。
でも断れない類いのものだろう。
「よくわかってるじゃないですか」
わかった。
今日の夜に行くことにするよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます