第190話 本音
「クリスさん、ココの分け前はどうしますか?」
「えっ? 半々じゃないのかい?」
「いえ、そもそも俺たちは山賊退治に加担しただけですし、ボスも倒したのはクリスさんじゃないですか。権利はクリスさん達にあるのかと」
「そういう事なら魔道具はウチらで貰おうかな。その代わり食料関係はシーマくん達で。あとはお金にして半々でいいんじゃないか? もちろん山賊討伐の件も含めてね」
「それだと、こっちが貰いすぎです」
「そんなことないと思うけど…」
「クリスちょっといい?」
話の途中でクリスさんがノエルさんに呼ばれて、2人で話し込んでしまった。おそらく分け前について話しているのだろう。
「シーマくんたちはこれから王都へ戻るのよね?」
「そうですね。目的はほぼ達成しましたので、あとは薬草を取りながら王都へ帰ろうかなと。もし面倒でなければノエルさん達も一緒に行きませんか? 山賊の死体も僕が運びますよ」
「そう。その件があったから私達も一緒に王都へ行こうと思ったのよ。それでね、ココの分け前は半分でいいから、私達の食事を作ってくれない?」
あぁー、そゆこと。
ノエルさんがわざわざ会話を止めてまで決めたかったのは食事のことか。
っていうか、今までどうしてたんだろう…。
ノエルさんが作ってたのかな?
聞いてみたいけど、訳もなく怖くて聞けない…。
「全然構わないですよ。ただ、この前フォルティスさん達と食事会をしたばかりなので、アイテムボックスにもあまり残ってないんですよ。もし足りなくなったらどこかで作らせて下さい」
「無理言って悪いね。よろしく頼むよ」
「食事会…」
「…ノエルさん、俺がまだフォルティスさん達の食材を持ったままなんで、食事会はまた近いうちにもう1回あると思いますよ」
「よかった。何でその時王都にいなかったのか、悔やんでも悔やみきれなくなるところだった」
「「「「…」」」」
何気にノエルさんの食べ物への執念って凄いものがあるよな。
クリスさんも若干呆れてるっぽいし。
「そういえばもうそろそろお昼ですよね。せっかくなのでこのアジトで食べていっちゃいましょうか」
「もうそんな時間なんだね。いいよね、ノエル?」
「もちろん…(ジュルッ)よ」
「「「「…」」」」
こうして俺たちは山賊のアジトでお昼を食べることになったのだが、汚いテーブルでは食べたくなかったので、この前の食事会で食べれなかったフレンチトーストをみんなで立ったまま食べた。
久しぶりにフレンチトーストを食べたノエルさんが大変喜んでいたのは言うまでもない。
今度の食事会は気合い入れて作らないとな…。
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