第204話 準備
翌日。
貴族会議を明日に控えたこの日も俺は料理を作り続けた。途中、気分転換にシェリルと武器屋に行ったり、クリスさんと稽古をしたりしたが、その間も煮込みなどをして火を止めることなく調理をし続けた。
そんな中、やはりというか、エルピスから連絡がきた。
「シーマくん、ちょっとこっちに来れるかしら?」
俺は急いでエルピス像をセットして祈りを捧げると、いつもの場所に来ていた。
久しぶりという訳でもないのに、エルピスの姿がやつれて見える。それでも絶世の美女であることには変わりないんだが...。
「早速ですが、聖女を救出してきて下さい」
本当に早速だな苦笑
やっぱりこの前の話がさらに悪いほうに進んでしまったみたいだな。
「そうなんです。でもシーマくん行く気マンマンそうじゃないですか。急いで準備してたみたいだし」
そりゃそうだろ。
あんなこと言われたら、いつでも出発出来るように準備しておくしかないじゃん。
「それではすぐに出発でお願いします」
いやいや、まぁ行くよ。
行くけども!!
もうちょっと何かないの?
情報とか、アドバイスとかさ!!
「うーん、そうですね...フィリア王女は連れて行ったほうがいいかと。聖女と面識がありますからね...ただ、素性は隠して行動したほうがいいでしょう。勝手に王女が隣国に行ったとなれば外交問題になりかねません」
フィリア王女か...。
まぁこれも予想通りではあるな。
あの事が公表されればどっちみち王都にも居ずらいだろうから、ちょうどいいといえばちょうどいいのかもしれない。
何より聖女を救出するにあたって、面識のある人がいるのは心強いしな。
「あとは、道中で目立ってしまわないように、同行者をあまり増やさないで下さい。少数に絞ったほうが良いでしょう」
なるほどな。
それも言えてる。
確定なのはディオランサとフィリア王女のみだが、それでは足りないがあまり増やせもしない...か。人選が重要になるなー。
ん?
ここで問題があるなー。
俺がいきなり、教国へ聖女を救出しに行くって言ってみんなが信じて付いてきてくれるのかな? 怪しさ満点じゃないか?
どうせなら、この機会に嫁ズとフィリア王女にはエルピスとの関係について話しちゃったほうがいいのかもしれないな。
「え? 私との関係って...。あんなことやこんなことしちゃったことも言ってしまうのですか?」
いやいや、何もないだろ。
どんな妄想してんだよ。
エルピスからの神託があったって言えば、みんな信じてくれるんじゃないかなー。
そもそも、よく考えたら俺さ、セレナには異世界の記憶の話しちゃってるんだよな。セレナに話してシェリルに話さない訳にはいかないけど、フィリア王女に聞かれるのもな...。
でも、聞かれてもいっか。後ろ盾になってもらうんだったら話しておいてもいいだろう。
「それもそうですね。その3人については話してもいいでしょう...どっちみちそのうち嫁仲間になるつもりですし...」
え? 何か言った?
「い、いやいや、こっちの話ですよ、えぇ。こっちの話、そっちの話...」
いったいどっちの話なんだよ...。
多少気にはなるけど今はそれどころじゃないな。
とりあえずは3人に経緯を説明して、残りの人選を進めることでいいかな?
「はい。それで構いません。なるべく急いで下さいね」
分かってるよ。
何とかする。
あと、
これとは別件なんだけどさ、エルピスはその...大丈夫なのか?
どこか悪かったりしたんじゃないのか?
「神力が落ちていました...」
えっ?
それってヤバいんじゃないの?
「それがですね...『あのレモン』を食べたらグングンと復活していったんですよ!! それってスゴくないですか?」
...うん。スゴいね。
スゴいんだけどさ、
神力が復活するほどの『レモン』なんてヤバいでしょ。
まずは、そこに気付こうよ苦笑
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます