第62話 意外な才能



護衛依頼の2日目。


セレナとシェリルは、昨日一緒に寝たせいか距離感が近くなった気がする。

シェリルの明るい性格もあるんだろうけど、セレナにはあまり友達がいないから、仲良くなって欲しいと思って無理矢理馬車に寝かせてもらったけど、どうやら正解だったみたいでよかった。


2日目の道中は、道が山に近くなることもあって魔物との遭遇も多少増えた。


途中、お昼の休憩をしている時に気になってたことをシェリルに聞いてみた。



「いざとなったら、シェリルは戦えるのか?」


「うーん。戦えないこともないけど、ボクの戦い方は特殊だよ?」


「そうなのか? それなら質問を変えるけど、自分の身は自分で守れるか?」


「相手がDランクくらいでの一体一なら大丈夫だと思う」


「そうか。なるべくシェリルが戦うようなことにならなければいいが、絶対はないからな。予め知っていたほうが上手く立ち回れるからさ」


「私もシェリルを守れるように頑張るよ」


「うん。セレナさんもありがと。せめて足手まといにならないようにするよ」



特殊か。

少し気になるな。

鑑定でのぞかせてもらうか。



「!!」



「ん? シーマさんどうかしたの?」


「あぁ、いや何でもない。急に思い出したことがあってさ。大丈夫だよ」



何とか誤魔化したが少し驚いた。

シェリルのステータスはこうだ。


・シェリル•••人間

・年齢•••15歳

・職業•••商人

・スキル•••暗殺術Lv.2、投擲術Lv.2、隠密Lv.1



確かにかなり特殊だ。

しかも、俺ともセレナとも違う斥候タイプ。

正直なところ、俺たちのパーティーに欲しいくらいだ。

でも、それは叶わないだろうな。

シェリルには商人としての役割がある。

女の子だしな。


戦わないほうがいいんだ。



だから、ちょっと話題を変えよう。

もう1つ気になってたことをシェリルに聞いてみることにした。



「フィデールってどんな街なんだ?」


「知っての通り国境の街だからね。隣りのエピリシア教国とか各国からいろいろな物が集まるんだ。商人としては外せない街だね。ルート商会も店を構えてるし」


「へぇー、そうなのか」


「それは食材だけじゃなくて魔道具とかもあるのか?」


「あることにはあるけど、あまり数は出回ってはないかなー。魔道具は他の国の店と直接やり取りしてるところが多いから。でも稀に珍しいものが出回ったりするよ」


「あら、残念ね。便利な魔道具が欲しかったのに」



え?セレナ、そうなの?

何も聞いてないけど俺。

俺に言わないだけで、セレナはセレナで欲しいものがあるんだろうな。

フィデールで何か買ってあげようかな。




その後、

俺たちはゴブリンやホーンラビット、たまにオークに遭遇したが、難なく撃退しながら進み、3日目の夕方になってフィデールに到着したのだった。




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