第264話 俺の宿屋



準備中に多少のゴタゴタはあったものの、何とか無事に朝食を終えることが出来た。


食事中もクラリスとフィリア王女がわちゃわちゃしてたなー。まぁ、静かすぎるくらいなら、むしろ賑やかなほうがいいんだろうな。

巻き込まれたら面倒だったりするけど...。



そんなことを思ってたら、移動の馬車内も同じ状況だった。

さすがに俺たちが戦闘中の時は静かだけど、それ以外はセレナやシェリル、時々ノエルさんも加わりつつのみんなでわちゃわちゃしてた。

そうなると、必然的に御者台は俺とクリスさんになる。もはや指定席状態だ笑



「シーマくんもいろいろと大変だね…」


「ええ。ちょっとオルティアに帰るのが怖くなってきました…」


「ハハハ。もっと賑やかになりそうだね笑」


「いやいやクリスさん、笑い事じゃないですから」


「それまでにせめて少しでも休めるといいね」


「そうなんですけどね…。だんだんこの家も狭くなってきちゃってますからね」


「それならいっそ、精龍亭を持ち歩いちゃえばよかったのに。でも、さすがにそれは難しいよね笑」


「あ、それだ!!」


「えっ?! コスタに戻るの?」


「いや、そうじゃなくてですね。新たに宿屋を造ってもらって、それを持ち歩こうかなって思って」


「そんな簡単に言うけど出来るの?」


「出来るんじゃないですかねー。ルート商会のロナルド会長にお願いすれば何とかなるかと。フィリア王女救出の件でお金はありますし...。でも、どんなものを作ってもらいたいのかはこちらで決めたいんですよね...」


「フィデールか、もしくはサザンベールまで来てもらって先に話をすればいいんじゃない?」


「あぁ、そうですね。そうしようかな...。シェリル! ロナルドさんにフィデールかサザンベールまで来てもらうことって出来るかな?」



俺は御者台からシェリルに声をかけた。



「そんなに遠いわけでもないから、近くの街から書状を出せば、グランツまではそんなに時間がかからないけど、クラリスのことを考えたら早めにオルティアに入ったほうがいいんじゃないの?」


「あ、そっか...。それじゃ、フィデールにしようか。何日後がいいと思う?」


「サザンベールまでが2日、滞在が長くて3日。そこからフィデールまで3日でしょ? 少し余裕を持って10日後なんてどうかしら?」


「いいね。それで行こう。悪いけど書状を頼むよ」


「わかった」



でも、問題はこれからだな。

どういったものにするのかを考えなきゃいけない。

精龍亭はコスタに戻った時のために必要だし、思い入れがあるからそのまま残しておくとして、それとは別の『俺の宿屋』だよな。

どうしようかな…。



うーん。

まずはエルピスに何かスキルを貰おうかな。








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