第263話 予感



「それにしても、ずいぶんと朝早くから結構な量を用意するんですね」



結婚話が落ち着いた?ところでクラリスが聞いてきた。



「人数がいる分ある程度多めに作らないといけないからさ、なるべく早く起きて準備するんだ。でも、宿屋やってる頃からだから、もう習慣になっちゃってるよね」


「何か手伝いましょうか?」


「いいのか? 聖女様にそんなことしてもらっちゃって…」


「今の私は聖女ではありませんから苦笑」


「あ、そっか…。それじゃ、せっかくだから野菜を切ってもらおうかな? 俺が途中までやってあるんだけど…」


「えぇ、問題ないですよ。これと同じように切ればいいんですよね…って、かなり細長く切るんですね」


「それはそのまま食べる用だから、持ちやすくて食べやすくするためだよ。これにつけて食べるんだ。ちょっと食べてみる?」



俺はお手製マヨネーズが入った小皿を渡すと、クラリスは野菜スティックに付けて早速食べた。



「んんー!! これは美味しいですぅ」



なかなか面白いリアクションだよな。

そして、ただひたすらにかわいい笑



「喜んでもらえてよかったよ。ブラックバードが夜の定番なら、これが俺たちの朝の定番なんだ」


「昨日も思ったけど、みんなはシーマさんの料理をずっと食べててズルいですぅ。私ももっといろいろ食べたいですぅ」


「俺もそんなに種類を作れるわけじゃないけど、これからも一緒に行動するんだろ? そしたら嫌でも食べることになるよ笑」


「いえいえ、嫌どころか楽しみで仕方ないですぅ」


「それならまぁ、楽しみにしておいてよ」


「はい!!」




「あらあら、朝からシーマさんに粉かけてるの? クラリスったら、見かけによらず積極的なのね」



俺とクラリスで朝食の準備をしてたところに、意外な人物が割って入ってきた。


フィリア王女だ。



「おはようフィリア。何言ってるのよ。こういうものは早い者勝ちよ。ボヤボヤしてると3番目は私になっちゃうわよ?」



何だか2人とも様子がおかしいな。

いやに挑戦的だ。

険悪な感じではないのが、何故か少し悪寒がするような...。

気のせいか?



「フィリア王女にしては珍しく早起きだね。何かあった?」


「無性に嫌な予感がしたのよね...」


「あら、それは私に3番目を奪われる予感かしら?」


「ぐぬぬぬ...」



ダメだこりゃ。


何を言ってもそっちに転ぶみたいだ。

こんなのがずっと続くのかな...。


スゲー疲れそう...。


とほほ...。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る