第241話 合流
「シェリル、馬車が見えた。合流して何もなければすぐに出発するぞ!!」
「わかった!!」
俺は走りながらシェリルに指示した。
馬車が南側の入口近くにあるってことは、クリスさん達も順調だったみたいだな。
「シーマ、シェリル早く乗って!!」
セレナが馬車から手を振りながら叫んでいる。
俺とシェリルが飛び乗ると同時に馬車は動き出した。
「シーマくん、杖は?」
「すり替えました!!」
「よし!! それじゃ、話は後だ。すぐにエルブライトを出るよ!!」
「お願いします!!」
クリスさんが馬車を走らせ、俺とシェリルは急いで着ていた服を脱ぐ。実は追手対策のために、念の為冒険服を重ね着していたのだ。これで、万が一街の出口で目撃されても、すり替えの犯人とは気付かないだろう。
もっとも、杖を使いこなせない以上、すり替えたことに気付くのかどうかさえもわからないけどな苦笑
その後、特に何のお咎めもないままエルブライトを出れた。
「ぷはァ〜」
「シーマさん、お疲れ様。大変だったでしょ?」
やり遂げたという達成感と無事にみんなと会えた安心感から、馬車の中で急に気が抜けてしまったところを、フィリア王女が労ってくれた。
「あまりやらないことをやると疲れるね笑」
「確かにそうかもしれないわね」
「とりあえず杖は何とか取り返したから、後は聖女クラリスか...。今回みたいな奇襲は通用しないだろうな、きっと」
「そうね。何か策を練らないといけないかも。でも、みんなで考えれば何とかなるんじゃないかしら?」
「杖のすり替えがバレたら、聖女が危険に晒される可能性が高いから、こっちも早めに動く必要がある。そもそも、聖女の救出が一番大事なんだし」
「本番はこれからってわけね。まずは移動しながら考えましょ。」
「そうだね」
「ところで、その杖は本物なの?」
「あぁ、大丈夫。すり替えてからすぐにシータに確認してるから問題ない」
「ふーん。相変わらずシータと仲がいいのね!!」
「えっ?! あぁ、うん…」
「まさか、その杖にも名前をつけるとか言い出さないでしょうね!!」
「いやいや、それはないよ。そもそもシータだって、名前をつけてくれって言うからつけただけだし」
「それもどうかしらね」
何だかシータの名前を出したら、フィリア王女が若干不機嫌になったような…。
まぁ、いいや。
杖を取り戻してひと安心ではあるけど、最も大きな目的は聖女クラリスの救出だ。それを達成しなければあまり意味をなさなくなる。
まだまだこれからといったところか…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます