第196話 稽古
クリスさんが宿を探しに行こうと帰りかけたところをイルマさんが止めた。
「ココに泊まってもいいんですか? やったよクリス!! 私達もヒーラに泊まれるよ!!」
まさかのノエルさん大歓喜。
へぇー。ヒーラっていうか、イルマさんってやっぱりスゴいんだな…。
「シーマが料理作ってくれるんだから、他の宿より全然いいはずだよ」
うん。
スゴいけど、違うわ。
いったい俺を何だと思ってるんだ?
残念だわー。
「いいなー。私も泊まりたいのに…」
フィリア王女はまだ諦めてないのか。
さすがにダメなんじゃね?
まぁ、あの国王だからな。お願いすればすぐにOKが出るんだろうけど、イルマさんが止めてくれてるからな。とりあえずはそれだけが救いだ。
「フィリア、あんたはまだダメだよ。食事だけで我慢しな」
「…はーい」
力のない返事だな苦笑
そのうち泊まれるようになるみたいだから今は我慢すればいいじゃん。
「そうと決まれば、早速部屋の準備をしないとね。準備は他の人でやるから、シーマは食事を頼むよ!!」
「はいはい…」
そんなこんなで今日からヒーラにはエリシオンの2人も泊まることになったのだった。
そして、翌日。
朝から料理をしていると、クリスさんとノエルさんから声をかけられた。
「僕達にも何か手伝えることはないかな?」
「特にはないんですが、クリスさんは毎日俺と稽古をしてくれませんか? そして、ノエルさんはイルマさんのお手伝いなんかどうでしょう?」
「そんなことでいいのかい?」
「私なんか、こっちからお願いしたいくらいなんだけど!!」
「じゃあそれで決まりですね。食事をしながらみんなにも話しましょう」
食事をしながら先程の話をすると、イルマさんはとても喜んでいた。
「ノエルちゃんの魔力がかなり大きいみたいだから、繊細な作業は難しいかもしれないけど、それも経験だよ。いろいろとやってみるといい」
「スゴい!! そんなことまでわかるんですか? さすがはイルマさんですね」
あーぁ、イルマさんがドヤ顔しちゃってるじゃん。
調子に乗らせたくないから、あんまり持ち上げないほうがいいんだけど、今のノエルさんに言っても無駄っぽいから、その辺は身をもってわかって貰うしかない苦笑
朝の食事を終えると、俺とクリスさんはアイゼンの幻陽のパーティーハウスへと向かった。山賊の件をお願いするためだ。
「シーマの料理がまたたらふく食えるんだろ? それくらい何でもねぇよ。
それよりか、クリスは久しぶりだよな。エテルナもノエルと会いたがってるだろうから食事会は早めにしたいな。そうだな…2日後でどうだ?」
「僕達は構いませんよ」
「俺は…まぁいいですけど、そんなに品数は作れませんからね」
まぁ、フォルティスさんの返答はフィリア王女の予想通りだった。
だが、2日後って言って来たのは誤算だったな。
いくらなんでも早すぎない?
品数を抑えてもらったけど、すぐにでも作らないとダメじゃん。
「おう、シーマとクリスがいるんだからよ、久しぶりに剣で打ち合おうぜ!!」
「本当ですか? 是非お願いしたいです。シーマくんもちょうどいいよね?」
「ぁ…」
いや、剣をやりたいって言ったよ。
言ったけどさ。
フォルティスさんじゃないんだよね…。
案の定、俺の体は悲鳴を上げることになった。
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