第289話 独壇場



「ロビン、これの作り方は聞いてるの?」



リンダさんがほぼほぼ食べ終わっているフレンチトーストを指差しながらロビンさんに聞いている。

そう言われると、教えてないな。

っていうか、ロビンさんは今初めて見てるはずだから分かる訳がない笑



「いや、今初めてみるからな。特に聞いてないけど…」


「はぁ?! 何それ。今すぐ聞いておきなさい!!」


「…」



突然の強権発動にロビンさんは無言になっている。

さて、俺はどうするか…。

助け舟を出すしかないよな笑


今日はもう、レクチャーしている時間はないからな。明日の朝かな…。



「ロビンさん、俺たちの出発直前になってしまいますが、明日の朝でも良ければ作りながら教えることは出来ますけど」


「お、おう。悪いけど頼むわ…」



教えなければ出発出来なそうな流れだったからね。それはしょうがない。明日はチャッチャッと教えて出発しますよ。





「シーマくん、今日はありがとう」


「えっ?!」



そろそろお開きにしようかと思ってたタイミングでリンダさんから声がかかった。



「魚醤を使いながら南風にも新しい料理を与えてくれたんでしょ?」


「…」


「しかも私にくれたものはしつこくなくて食べやすい、よく考えられたものだった。若いのに感心しちゃうわ」


「…」


「今ならクラリスちゃんがベタ惚れなのもわかる気がする」


「いや、それは…その…何でもないでしゅ」



リンダさんの言葉にクラリスがテンパっているが、今はとりあえず放っておこう笑



「クラリスちゃん、いい?よく聞いて」


「はい」


「もちろん自分の気持ちは大事なんだけど、『いい女』ってのは相手に惚れさせるものよ!!」


「…」


「それはね、外見を磨くことも大事だけど、普段からの立ち振る舞いで決まるの。料理が上手、話がうまい、気が利く、剣のが強いとか…男に惚れさせることはいくらでもあるの」


「…」


「シーマくんにとって、セレナちゃんやシェリルちゃんにはそれがあるけど、クラリスちゃんにはまだないんじゃないかしら?」


「!!」


「せっかく聖女から解放されたんだから、もっと女を磨きなさい。既に嫁が2人いたっていいじゃない。順番なんて関係ないないじゃない。好きな男に惚れされるほど快感なことはないわ。クラリスちゃんも頑張りなさいね」


「はい。ありがとうございます」


「「「「…」」」」



リンダさんによるクラリスへの激励が終わったのだが、当事者のクラリスはもちろんだが、他の女性陣の顔付きが明らかに変わった。


時として、こういった年長者からの言葉は必要なんだよな。


やっぱり改めて思う。ココに来て、ロビンさんとリンダさんに出会えて本当に良かった。




でもね、リンダさん。


ひとつ間違ってる。


もう俺はクラリスに惚れちゃってる。


あの豊満なカラダに…。




だってしょうがないじゃないか。


男の子だもん。





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