第87話 ぺぺ風
「次はこっちを食べてみて」
俺がペペロンチーノ風パスタを手渡すと、2人ともおもむろに食べ始めた。
もしかして、こっちのほうが効果ある?
「こっちは匂いがするだろ?」
「そうね。でも作ってる時も思ったけど、食欲をそそる匂いだよね」
「ボクもそう思う。お腹を空かせる匂いだよ」
どんどん2人は食べ進めて、あっという間に平らげてしまった。
「美味しかったわ」
「うん、美味しかった。まさか『バスタ』と『いんにく』を組み合わせるとは思ってなかったなー」
「フィデールならでは料理ね」
「商会で専売したいくらいだよ」
なるほどな。確かにフィデールで仕入れたものだからな。間違いなくココならではの料理だ。
「さっきの料理とこっちの料理、ステラさん達に売り込むならどっちだと思う?」
「...私は『バスタ』の料理かな」
「...うん。ボクも『バスタ』だね」
「その理由を聞いてもいいか?」
「今回は元気になれる料理でしょ? 食欲が増す匂いだしね、今回の依頼にピッタリなんじゃない?」
「ボクは美味しくて夢中で食べちゃったからね、それだけでも十分なんだけど、フィデールの店で出したいって思ったからだね」
「よし。それじゃあ、早速グランツに帰ったらステラさん達に作ってみることにするよ」
「シーマ? もしこれで良い反応だったら、レシピごと売る形になるけどいいの?」
「あぁ、そのことか。俺も作りながら思ったんだけどさ、匂いが結構するから、これはどっちかというと、宿ではなくて屋台向けの料理かなって思ったんだ」
「そう。シーマが良いならそれでいいわ」
ステラさん達が納得してくれるかどうかは別として、試食してもらえそうなものは出来た。
グランツに戻ったら早速作らないとな。
「それはそうと、シーマ?」
「ん? どうしたシェリル?」
「薬みたいの作ってたみたいだけど、あれはどうするの?」
「…あぁ、アレか。何か失敗しちゃったみたいでね、全部アイテムボックスに閉まっちゃったよ。でも、またチャレンジしたいから、これからも睾丸は売らずに取っておくようになるね」
「そっかー、失敗は残念だったけど、シーマならいつかきっと成功するから頑張ってね」
「…ありがとう。シェリル」
うーん。
シェリルには言えなかったんだけど、本当の意味での失敗はしていない。鑑定の結果、思ってたよりも強力過ぎて使用していいのかが分からなかったのだ...。
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