第86話 バクダン
ルート商会で屋台を拝借した俺たちは、とりあえずフィデールの街を出て、誰も来そうになくてちょっと開けたところを探して屋台を引っ張り出した。
たかだか料理を作るためだけなのに、こんなに面倒臭いことをするのもどうかと思うが、俺を取り巻く現状を考えると致し方ないのだろう。
前の世界で言うところの「どこ〇もドア」があれば、いつでも精龍亭に帰れるんだけどなーって思ってはいるが、出来ないことを考えてもしょうがないので、今はまず、精のつく料理を何とかしないとな。
メイン候補は、にんにくとオークの睾丸だ。
にんにくは火を入れれば匂いは緩和できるからともかく、睾丸なんてどうすればいいんだろう笑
まぁ、とにかく思い付いたものをまずは作ってみるか。
1つめは「にんにくのバクダン」だ。
丸状態から少しだけ皮を剥いて、上の部分をカットして油でこんがり揚げる。そしたら皮を剥いて塩を軽く降れば出来上がりだ。
2つめは「ペペロンチーノ風パスタ」。
フィデールで手に入れたパスタを茹でた後で、麺と生のにんにくスライスに塩を加えて炒めたら出来上がりだ。唐辛子がないけど問題ないだろ笑
3つめは「丸薬」かな?
薬草と乾燥した睾丸、それにちょっとだけにんにくを入れてからすり潰して混ぜ合わせたら、小さい丸状にして完成?!
うーん、とりあえず作るだけ作ってみたけどどうなんだろ? どれもセレナやシェリルに食べてもらうのは忍びないが、俺だけが食べるのも問題なんだよなー。後で絶対怒られそうだし苦笑
「2人共、一応作ってみたけど食べてみる? 嫌だったら「「もちろん食べる(わ)」」⋯」
即答かよー。
信頼してくれるのは嬉しいけど、ちょっとは迷って欲しい時もある。今回がまさにそれだ。
にんにくだからなー。例えばキスした時とかににんにくの匂いがしたら...とかないのかな?
ただ単に食い気が勝ってるだけなのかな?
まずは、バクダンをみんなで食べてみる。
うん。普通にバクダンだな。
ビールに合いそうだ。この世界にはないけど。
「普通に美味しいわね」
「うん。ホクホクしてる」
「匂いは気になるか?」
「言われちゃうと気にするけど、言われなければそうでもないわ」
「そうだね。ただこれを食べたら元気が出るかは分からないね」
「まぁそうだよな。その辺は明日以降にわかるのかもな」
即効性がないから効果としては分かりづらいかもしれないなー。
そんな料理を勧めていいのかもわからん。なかなか難しいところだよな。
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