第252話 再会と出会い
「クラリス、お久しぶりね。ずいぶんな登場じゃないの?」
若干ご立腹なフィリア王女が聖女クラリスに声をかけた。
「フィリア?! フィリアがどうしてこんなところにいるんですか?」
「あなたが抱きついてきたシーマさんにお願いされたからここにいるのよ」
「えっ?!」
「聖女クラリス様、自己紹介が遅くなってすみません。俺はオルティア王国の冒険者パーティー『ディオランサ』のシーマといいます。そしてそちらが、パーティーメンバーで婚約者の2人でセレナとシェリルです」
「セレナです」
「ボクがシェリルだよ」
「婚約者が既に2人も…」
あー。やっぱりそういう反応になるよね。
でも、事実だからしょうがない。
「そして、私が3人目の婚約者のフィリアよ!!」
「えっ、フィリアがまた婚約したんですか?」
さすがにフィリア王女が婚約ともなれば誰でもビックリするわな…。しかも、またってことはその前のいざこざを知ってるってことだ。
っていうか、こっちはまだ何も決まってないけど。
「聖女クラリス様、フィリア王女が言っていることは嘘です。婚約が決まったわけではありません」
「あ、そうなんですね…。てっきり…いや、何でもない…です」
「確かに正式には決まってないけど、私の中では既に決まってるわ!!」
「「「…」」」
いや、フィリア王女。
自信満々に言ってるけど、結局は決まってないよね苦笑
王女なんだし、そう簡単にはいかないと思うけどなー。
「えーっと、このまま紹介させていただきますけど、フィリア王女の隣りにいるのが、身の回りのお世話と王女専属の護衛をお願いしてますイースさんです」
「イースと申します。よろしくお願いします」
「あとの2人は、俺たちの先輩冒険者パーティー『エリシオン』のクリスさんとノエルさんです」
「クリスです」
「ノエルといいます」
「以上が今回、聖女クラリス様を救出するために集めたメンバーになります」
俺が今回のメンバーを一通り紹介し終えたところで、今度はクラリスが話し出した。
「皆様、この度は私を助けていただくために、ご尽力下さりありがとうございました」
クラリスはそう言ってから深々と頭を下げた。
「あぁ、そうだ!! 聖女の杖を取り戻しておいたんでした。クラリス様にお返しさせていただきますね」
俺はアイテムボックスからルミナスを取り出してクラリスに渡した。
『クラリス~!! 会いたかったよ~泣』
『私もよ。戻ってきてくれてありがとう』
ん?!
クラリスがルミナスを手にして会話をしてるのが俺にも聞こえちゃってるけど、何でだ?
俺の魔力が入ってるからなのか???
『私ね、シーマに名前をつけてもらったの!!』
『えぇー!!』
『ルミナスっていうんだよ。可愛いでしょー!!』
『素敵な名前…。私もルミナスって呼んでいいの?』
『もちろん!! 私はクラリスの杖だからね!!』
『ありがとう、ルミナス』
『えへへーっ』
やっぱりルミナスはクラリスが大好きなんだな。ちょっとしたやり取りだけでもそれがわかる。
よかったな、ルミナス。
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