第201話 やっと食事会



「それじゃあ、気を取り直して食事にしましょうか」


「シーマ、お前が話題を変えたいだけじゃねえか」



フォルティスさんが何か言ってるが、無視して大量のフライドポテトをテーブルに置く。



「冷めたら美味しくないので、熱いうちに食べてくださいね」



早く食べ始めるように促すと、みんなが一斉に黙々と食べ始めた。

食べ物のチカラってスゲーな笑



「おー、ホクホクだな!!」


「塩気もいい」


「大きさもちょうどいいんだろうな。どんどん食べてしまう」



アイゼンの幻陽の3人が次々と感想を口にしていくが、何だかこそばゆく感じる。

俺はただ、マ〇ドナルドの真似て作ってみただけなんだけどな...。



「あらかじめ言っておきますが、これからお出しするのはあと2品で、その後に甘味で締めとなります」


「時間がなかったんだ。しょうがないだろ。その分、量を多めにいただくさ」


「そうそう」



みんな食事のことになるとやけに素直だよなー。

子供みたいだ笑



「それではまず、こちらからどうぞ」



俺はみんなの前に1皿ずつ置いた。

あえて、何の料理なのかは言わない。



「全体的に白いから何の料理だか分からないわねー」


「食べてみればわかるだろ。シーマが食べれないものを出す訳がない」


「それもそうねー」



まずはアイゼンの幻陽の3人が食べ始め、その様子を残りの人達が見ていた。



「うん。外はパリパリで中はふっくらしてるね。美味しい...」


「でも、肉なんだけど肉じゃないような感じしないか?」


「これはポイズンスネークだな」



マジか。

オルテガさん、当てちゃったよ!!

とりあえず理由を聞いてみよう。



「オルテガさん、何でわかったんですか?」


「あぁ、実に簡単なことだ。俺たちが狩ったもので今まで出てないもので白身となれば、ポイズンスネークしかなかったんだよ」



そうか。消去法かー。



「そうなんですね。てっきり味でわかってしまったのかと思いましたよ」


「いや、この調理方法は初めてだからな。残念だがそれはない。どうやったらこうなるんだ?」


「小麦粉に塩コショウを加えたものを、肉にたっぷりまぶして焼くだけなんです」



簡単にいえばムニエルなんだが、この世界ではそんな調理方法はないだろうからな。



「よくもそんなやり方を思い付くもんだな...」


「いや、これは失敗から学んだことなんです」


「というと?」


「最初は塩だけで焼いてみたんですが、肉汁といっしょに塩気も肉の外に出ていってしまったんです。だったらどうにかして閉じ込めてしまおう、という訳です」


「なるほどな。どうりでシーマの料理が美味しいわけだ。」


「オルテガさん、褒めてもらっても出せるのはあと1品だけですからね笑」


「そうだったな。楽しみにしてる」



俺とオルテガさんのやり取りの間に、みんなはいつの間にかポイズンスネークのムニエルを平らげていた。





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