第200話 婚約破棄



「俺たちはグランツにいたんですが、アイゼンの幻陽に王都に来るように連絡があったので、その王都へ向かい始めた矢先、フィリア王女がレッドボアの群れに襲われてたんです」



レモネードの件が落ち着いたところで俺はフィリア王女救出の件を話し始めた。



「王国の騎士はいなかったのか?」


「俺たちが駆けつけた時には全員倒されていて、馬車の中にフィリア王女とアルテさんが残されていたんです」


「そんなにヤバい状況だったのか」


「あの時は本当に命が終わることを覚悟しました」



フォルティスさんの言葉に、俺ではなくアルテさんが返した。



「そんな中、ヒーローが現れたってわけね? そりゃあ、フィリア王女も惚れちゃうわよねー」


「えへへ...照」



重苦しい雰囲気を変えてくれたのはいいが、エテルナさん、その言い方はどうなんだ?

フィリア王女も照れてないで、ちょっとは否定しなよ苦笑



「そこからは無我夢中であまり覚えてませんが、俺たちだけで何とかレッドボアを全滅させて2人を救出しました」


「そこから王都まではどうやって来たんだ?」


「俺たちはグランツからルート商会よりいただいた馬車で移動してたんですが、王家の馬車は壊れてしまっていたので、フィリア王女とアルテさんにはウチの馬車に乗ってもらい、王家の馬車と騎士たちの遺体を俺のアイテムボックスに入れて、途中に小規模のスタンピードなどがあったりしましたが、何とか王都まで送り届けたという感じです」


「もし俺らがシーマ達を呼んでなかったらと思うとちょっと怖いな。偶然にせよなんにせよ、フィリアを救ったのがシーマ達で良かったな」


「本当ですね。騎士達が亡くなってしまったのはとても残念なんですが、ディオランサとの出会いが私を救ってくれました」


「そのようだな」


「この事が公表されたら私は傷もの扱いされるでしょうから、隣国との婚約についても破棄させてもらうつもりです」


「「「「「「「「!!」」」」」」」」



フィリア王女の爆弾発言に、アルテさん以外の人が凍りつく。

王女の婚約破棄。

それは、国にとっても重要なことなのだ。



「だから、シーマさんが責任取って私を貰ってね❤」



いやいや、何でそうなる?



「シーマくんも大変だね...」


「3人め…」



クリスさん、同情するなら助けて!!

ノエルさん、まだ決まってないから!!




気を取り直して食事会を進めるか...。




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