第160話 献上
声をしたほうを見ると、いつの間にかフィリア王女がそこに立っていた。
「フィリア、あんたいつの間に入って来たんだい?」
「えっ? だって店に誰もいなかったんだもん、こっちに入ってくるでしょ」
「だったら声掛ければいいじゃないか。盗み聞きのようなことは感心しないね」
「だって、大事そうな話してそうだったし…。それに面白そうな話でもあったから、黙って聞いてたってわけ。悪い?」
「まぁ結果的にこの話はあんたのとこに行くものだったからいいけどさ。それで、この話はフィリアに任せていいのかい?」
「えぇ。その前にセレナとシェリルはその化粧水の感想はどうなの? 確かにこの前よりは肌がプルプルしてるようには感じるけど」
「「これはヤバいです」」
「そこまでなのね。仮に今、私が使ったとしたら?」
「やめたほうがいいです」
「ソニア王妃様の質問攻めにあいます」
「あぁ、そっちか…。シーマさんはこの化粧水についてはどうなってもいいの? 今、私が考えてるのは一時的な封印なんだけど」
「全然構わないです。材料さえあればいつでも作れますし。でも、1つだけお願いがあります」
「何かしら?」
「作ったこの1瓶については、女神エルピス様に献上させて欲しいのです」
「別に構わないけど、いいの? 女神様に化粧水なんて冒涜にならない?」
「鑑定によると、この世界で初めての化粧水のようなので、まずは女神様に献上すべきかと」
「そういうことね、わかったわ。エルピス様もお喜びになるでしょう。ただし、材料だけは仕入れて、アイテムボックスに入れておいてね」
「ありがとうございます。では早速みんなの前で献上しちゃいますね」
「「「「えっ?」」」」
驚くみんなを無視して、俺はアイテムボックスからエルピス像を取り出してテーブルの上に立たせた。
そして、目の前に化粧水を置いて祈りを捧げた瞬間、化粧水は消えた。
「「「「はぁ?」」」」
まぁそういう反応になるよね苦笑
「消えて無くなったってことは無事に献上出来たということでしょう。やはりこの世界初の化粧水はエルピス様も興味があったんですね」
「「「「…」」」」
「よおおおおおおおおおっしゃあ!」
ドーン
ドーン
あーあ、エルピスが狂喜乱舞してるせいで、この世界が揺れてるわ笑
こんなことで世界が揺れるなんて、なんて言うか、平和だよね笑
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます