第174話 余韻
「いやぁー美味かったな!! シーマ、また頼むぞ」
食事が終わった頃、フォルティスさんが満足そうに言った。
「今日出してない料理もありますからね。まぁ、またそのうちにでも」
「楽しみにしてる」
何だろう。
オルテガさんに楽しみにしてもらえると嬉しいな。フォルティスさんだとあまりそうは思わないんだが...。
「今日はもうお腹いっぱいだからしょうがないけど、今度は甘いデザートもお願いね」
エテルナさんは相変わらずだ。
ヒーラでの生活が女性ばかりだから、あらかじめ溜め込んであるけど、もう少し充実させたほうがいいかもしれないな。
「わかりました。アイテムボックスに溜め込んでおきます」
「そういえば、俺たちが渡したワイバーンとポイズンスネークの料理が無かったな」
「すみません。出来る料理をひたすら作ってて、試してる時間が無かったんです。次回には出せるようにしますよ」
「いや、それは俺達の楽しみが延びるだけだからな。謝ることじゃない。シーマもいろいろと忙しそうだしな。明日は謁見なんだろ?」
「それを言わないで下さいよー。思い出さないようにしてたんですから苦笑」
「そうなのか? シーマは歳の割に落ち着いて見えるからな。緊張なんてしないのかと思ってたが笑」
「だって相手は国王様ですよ。緊張しないほうがどうかしてますよ」
「確かにそれは言えてるな笑」
「謁見ってどんな感じなんですか?」
「ん? 国王が話すことに返事すればいいだけだ」
「は?」
「王家はもちろん、宰相とか公爵とか国の重鎮がいるが、そんなのは放っておけ」
何だそれ
フォルティスさんに聞いたのが間違いだったかなー笑
「フォルティスの言い方が雑だけど、高ランク冒険者があまり舐められないようにしないといけないのよ。だってさ、いいように使われるのも癪じゃない?」
「自分たちのペースで話を進めることが大事だ」
エテルナさんもオルテガさんもいろいろとあったんだろうなー。あえては聞かないけど、言葉の節々にそういったことを感じる。
「アイゼンの幻陽ならともかく、俺たちなんてまだまだ駆け出し同然ですからね。舐められっぱなしになるかもしれませんが、そこはフィリア王女の力を借りたいと思います」
「そういうのは私に任せて。何かあったらやり込めてやるわ」
フィリア王女の気合いの入り具合が気になるが、変な方向に行かなければいいんだけど...。でも、仮に変な方向に話が進んでも、この国の重鎮を相手にそれを正す勇気もない。不安だけど、フィリア王女に任せるしかないんだろうな。
不安だけど。
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